「肩を上げようとするとつらい」「途中までは上がるけれど、それ以上が上がりにくい」。今回は、大府市から通われている60代女性の肩のお悩みについて、実際に行った評価 → 運動や調整 → 再確認の流れをご紹介します。
肩だけを見るのではなく、姿勢や肋骨まわり、背中、肩甲骨の動きまで含めて整理し、段階的に進めたことで、腕の上がりやすさに変化がみられたケースです。
この記事でわかること
- 肩が上がりにくかった背景にあった、姿勢・肋骨まわり・肩甲骨の影響
- 実際に行った、呼吸・背中・肩甲骨・肩まわりへのアプローチ
- 1か月・3か月・4か月でみられた変化
ご来店時のお悩み
この方の主なお悩みは、腕を前から上に上げていったとき、110°あたりより上でつらさが出て、それ以上上げにくいことでした。
さらに、週に2〜3回ほど、いわゆる「ギックリ肩」のように突然強い痛みが出ることがあり、その際には肩だけでなく、腕や手にも力が入りにくく感じることがあったそうです。
日常生活の中でも、「また急に痛くなるのではないか」という不安が強く、肩を動かすこと自体に怖さを感じておられました。
最初に確認したこと
1. 姿勢は典型的な円背(猫背)
立った姿勢を確認すると、背中が丸くなった典型的な猫背姿勢が見られました。
- 肩がすくみやすい
- 肩甲骨が下向きに引っ張られたような位置にある
- 肩の関節が前にずれやすい状態が疑われる
このように、肩まわり全体が前に引き込まれやすい状態でした。
2. 腕を上げるときに肩甲骨がうまく動いていなかった
腕を前から上げる動きを確認すると、肩甲骨が上にすくむ動きが目立ち、本来ほしい肩甲骨の回旋が十分に出ていませんでした。
本来、腕を上げるときには肩だけでなく肩甲骨もなめらかに動く必要があります。しかしこの方は、足りない動きを「肩をすくめるような動き」で補っており、それがつらさにつながっていると考えられました。
3. 背中が伸びにくかった
猫背姿勢が強く、背中を反らす動きも十分ではありませんでした。背中が伸びにくいと、腕を上げる際に必要な肋骨まわりの広がりや肩甲骨の動きも出にくくなります。
肩のお悩みでは肩だけに注目しがちですが、今回は肩甲骨の動きを妨げている要因として、肋骨まわりや背中の状態も重視して確認しました。
4. 腕や手に力が入りにくい感じもあった
週に2〜3回起きていた「突然の強い痛み」と「腕や手に力が入りにくい感じ」については、猫背姿勢によって鎖骨周辺から上の肋骨まわりのスペースが狭くなり、神経や血管が通るスペースに負担がかかりやすい状態も考えられました。
医療機関では別の診断名がついていましたが、TRADでは診断は行わず、トレーナーとして姿勢や動きの観点から負担のかかり方を整理しながら進めました。
どんな考え方で進めたか
今回は、いきなり肩に強い負荷をかけるのではなく、まずは肩甲骨が動きやすくなる土台づくりから始めました。
具体的には、肩そのものだけでなく、呼吸・肋骨まわり・背中・肩甲骨・肩関節の安定性という順番で整理していく流れです。
- 猫背によって動きにくくなっている肋骨まわりを動かす
- 背中が伸びる動きを引き出す
- 肩甲骨が安定して動けるようにする
- 肩の関節が安定しやすい状態を目指す
- 最終的に肩に負担をかけずに腕を上げやすくする
実際に行ったこと
1. 呼吸エクササイズで肋骨まわりを動かしやすくした
最初に行ったのは、肋骨まわりの動きを引き出すための呼吸エクササイズです。猫背姿勢が強い方では、上の肋骨を含む肋骨まわりの動きが乏しくなりやすく、その結果として体の前側が閉じたような状態になりやすくなります。
今回は、まず体の前側や肋骨まわりを動かしやすくし、その後の背中の運動や肩甲骨の運動につなげる目的で取り入れました。
2. 肩の深い筋肉を使い、肩関節の安定性を高めた
肩の関節の位置が前にずれやすい状態が疑われたため、肩の深い部分で関節を支える筋肉のトレーニングを行いました。
肩を上げるたびに関節が前にずれやすい状態では、つらさや不安定感が出やすくなります。そのため、まずは肩の関節が安定しやすい状態をつくることを重視しました。
3. 背中を伸ばすエクササイズを進めた
呼吸エクササイズによって肋骨まわりの可動性が少しずつ出てきた段階で、背中を伸ばすためのエクササイズも進めました。
具体的には、
- キャットアンドドッグ
- スワン
などを用い、背中が伸びる感覚を引き出していきました。背中が伸びやすくなると、肩甲骨の土台となる体の位置が変わり、腕を上げる動作もしやすくなっていきます。
4. 肩甲骨が上に向かって動きやすくなるようにトレーニングした
この方は、肩甲骨の動きがうまく出ていないことが大きなポイントでした。そのため、肩甲骨の動きを助ける筋肉のエクササイズを行い、腕を上げる際に肩甲骨が適切に動きやすくなるようにしました。
単に肩をすくめて上げるのではなく、肩甲骨が上に向かってなめらかに動けることを重視して進めました。
5. 肩甲骨を支える筋肉も使い、安定して動ける状態を目指した
肩甲骨は動くだけでなく、浮きすぎず、不安定になりすぎないことも重要です。そこで、肩甲骨を支える背中側の筋肉も働きやすいようにエクササイズを行いました。
動かす筋肉と支える筋肉を使い分けながら、肩甲骨が安定して働ける状態を目指しました。
6. 状態が落ち着いてからは、腕立てなどで負荷を上げた
状態が落ち着いてきた段階では、より実際の動きに近い安定性を高めるために、腕立て動作なども取り入れながら少しずつ負荷を上げていきました。
最初から強い負荷をかけるのではなく、呼吸 → 肋骨まわり → 背中 → 肩甲骨 → 肩関節という順に土台を整えた上で、最後に負荷をかけていったことが、このケースでは重要でした。
肩だけを見ないことが大切でした
今回は、肩そのものだけでなく、肋骨まわり・背中・肩甲骨・肩関節の位置関係を整理していったことがポイントでした。「肩を動かすとつらい=肩だけ鍛えればいい」とは限らない、という一例です。
再確認でみられた変化
1か月後
この方では、週に2〜3回起きていた「ギックリ肩のような強い痛み」が出にくくなりました。
3か月後
腕を前から上げる動きが170°まで向上し、日常生活の中でも腕を上げる動作がかなりしやすくなりました。
4か月後
肩の痛みはほぼ気にならない状態となり、腕を前から上げる動きも180°まで到達しました。さらに、少し負荷をかけた運動にも対応できるようになりました。
この事例からわかること
肩のお悩みがあると、多くの方は「肩だけが悪い」と考えがちです。しかし実際には、
- 猫背などの姿勢
- 肋骨まわりの硬さ
- 背中が伸びにくいこと
- 肩甲骨の動きの不足
- 肩関節の不安定さ
などが重なって、肩に負担が集中していることも少なくありません。今回の事例も、肩そのものだけでなく、肋骨まわり・背中・肩甲骨・肩関節の位置関係を整理していったことが、結果として肩を上げやすくすることにつながった一例です。
大府市で「肩が上がりにくい」「肩を上げるとつらい」とお悩みの方へ
大府市でパーソナルジムを探している方の中には、
- 肩がつらいけれど、何をすればいいかわからない
- 肩まわりだけをほぐしても戻ってしまう
- 姿勢や動きも含めて見てほしい
- 近さだけでなく、内容や続けやすさも比較したい
と感じている方もいると思います。TRADでは、肩だけを局所的に見るのではなく、姿勢・呼吸・肋骨まわり・背中・肩甲骨・体幹まで含めて確認し、その方に合った形で「整えること」と「鍛えること」を進めていきます。
大府市でパーソナルジムを比較している方へ
「家から近いこと」だけでなく、「自分の体の状態を見たうえで進めてもらえるか」「無理なく続けられるか」まで含めて検討したい方は、こちらのページも参考にしてください。
ご注意
本記事は、個人の事例をもとにした内容であり、すべての方に同様の変化を保証するものではありません。また、TRADでは医療行為・診断は行っておりません。強い痛みやしびれ、脱力などがある場合は、無理をせず医療機関での確認もご検討ください。
参考文献
- Barrett E, O’Keeffe M, O’Sullivan K, Lewis J, McCreesh K. Is thoracic spine posture associated with shoulder pain, range of motion and function? PubMed
- Kebaetse M, McClure P, Pratt NA. Thoracic position effect on shoulder range of motion, strength, and three-dimensional scapular kinematics. PubMed
- Lafrance S, et al. Diagnosing, Managing, and Supporting Return to Work of Adults With Rotator Cuff Disorders. PubMed
- Melo ASC, et al. Effectiveness of specific scapular therapeutic exercises in patients with shoulder pain. PubMed
- Zhong Z, et al. Effect of scapular stabilization exercises on subacromial pain syndrome. PMC
- Jeong GH, Lee BH. Effects of diaphragmatic breathing re-education and shoulder stabilization exercises. PubMed
- Ristovski A, et al. Acute effects of diaphragmatic breathing on trunk and shoulder mobility. PubMed
