「トレーニングした日にビールを飲んだら台無しですか」——体験にお越しになった方から、よくいただく質問です。結論からお伝えすると、ビール1杯で筋トレが無駄になる、と言えるだけの根拠はありません。ただし、大量に飲めば運動後の回復の邪魔になることは、研究で示されています。ここでいう「大量」がどれくらいなのかを知っておくと、判断がしやすくなります。この記事では、東海市・太田川駅徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、お酒と体づくりの関係を、量の目安とあわせて整理します。
要点まとめ
・よく引用される研究では、運動後のアルコール摂取で筋たんぱく質の合成が24〜37%低下したと報告されています(Parr et al. 2014)
・ただしその量は体重1kgあたり1.5g=ドリンク約12杯相当で、対象は若い男性8名でした
・日常的な1〜2杯に、この結果をそのまま当てはめることはできません
・目安になるのは公的な数字です。生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、純アルコールで1日あたり男性40g以上・女性20g以上(厚生労働省)
・女性は男性よりアルコールの影響を受けやすいことが、体格・代謝の面から説明されています
「お酒は筋トレに悪い」の元になっている研究
この話題で必ず出てくるのが、2014年に発表された研究です(Parr et al. 2014)。内容を正確に見ておきます。
参加したのは運動習慣のある男性8名。筋力トレーニングと自転車運動を行ったあとに、①たんぱく質のみ ②アルコール+たんぱく質 ③アルコール+糖質 の3パターンを試し、筋肉をつくる働き(筋原線維たんぱく質の合成速度)を比べました。
結果は、①に比べて②で24%、③で37%低下。「お酒は筋トレを台無しにする」と紹介されるのは、この数字です。
ここで見落とされている条件
問題は飲んだ量です。この研究で摂取されたアルコールは体重1kgあたり1.5g。研究ではドリンク約12杯相当と表現されています。体重60kgの方なら純アルコール90g——後述の計算で言えば、ビール500ml缶を4本半、一度に飲む量にあたります。
また、対象は若い男性8名です。40〜60代の方、女性の体づくりにそのまま当てはめられる規模でも対象でもありません。
ですから、この研究から言えるのは「一度に大量に飲めば、運動後の回復の働きが鈍る」までです。「晩酌の1杯でも同じことが起きる」とは示されていません。ここを混ぜて語らないことが大切だと考えています。
自分の飲む量を数字にしてみる
感覚ではなく数字で把握できると、判断が変わります。厚生労働省のガイドラインが示している計算式は次のとおりです。
純アルコール量(g)= お酒の量(ml)× 度数(%)÷ 100 × 0.8
この式で計算すると、次のようになります。
・ビール(5%)500ml缶1本 → 20g
・ビール(5%)350ml缶1本 → 14g
・日本酒(15%)1合180ml → 約22g
・ワイン(12%)グラス1杯120ml → 約12g
・缶チューハイ(7%)350ml 1本 → 約20g
・焼酎(25%)100ml(水割り1杯の目安) → 20g
そして厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、純アルコールで1日あたり男性40g以上・女性20g以上としています。
並べてみると分かります。女性の場合、ビール500ml缶1本、あるいは缶チューハイ1本で、すでにその量に届きます。「そんなに飲んでいないつもり」が、数字にすると違って見えることは珍しくありません。
女性のほうが影響を受けやすい理由
これは体質論ではなく、体のつくりから説明されています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、女性は一般的に男性より小柄で体内の水分量が少ないこと、アルコールの代謝能力が平均すると男性の3/4程度であることが挙げられ、同じ量・同じ体重でも血中のアルコール濃度が高くなると説明されています。
「昔より弱くなった気がする」という感覚をお持ちの方は、量の基準をご自身の今に合わせて更新しておいたほうが安全です。
飲んだ日のトレーニング、どう考えるか
ここからは研究の話ではなく、TRADが現場でお伝えしている実務的な考え方です。
1. 飲んだあとにトレーニングはしません。 バランスや反応の面で、いつもと同じようには動けません。重いものを扱う場面では、それだけでけがの入り口になります。
2. 飲む予定がある日は、先にトレーニングを済ませます。 順番を入れ替えるだけで、多くの場合は解決します。
3. 翌日は、量を落としてでも動きます。 完全に休むより、軽く歩く・ストレッチをするほうが、生活のリズムを崩さずに済みます。ただし体調が悪い日は休んでください。
4. 飲む日をあらかじめ決めておきます。 「飲まない」と決めるより「金曜だけ」と決めるほうが続きます。TRADは我慢を積み上げる方針を取っていません。
5. 翌日の体調を、ご自身の目安にします。 寝つきは良かったのに夜中に目が覚めた、朝の体が重い——同じ量でも、その日によって出方は違います。翌日の体調が、ご自身にとっての適量を教えてくれます。数字の目安とあわせて、ここを見ていただくのがいちばん確実です。
お酒そのものにもエネルギーがあり、実際にはおつまみが一緒に増えます。体重が思うように動かない時期には、運動より先にここを見直すほうが早いこともあります(運動しても体重が減らない停滞期)。飲んだ日の食事の組み立てはたんぱく質の摂り方もあわせてご覧ください。
やめる必要はありません
体づくりを始めたからお酒をやめなければいけない、とは考えていません。やめられない前提で組み立てたほうが、結局は長く続きます。
実際にお伝えしているのは、①量を数字で把握する ②週のうち飲まない日を作る ③トレーニングの直後には重ねない——この3つです。ここまで守れていれば、あとは楽しんでいただいて構わないというのがTRADの立場です。
なお、健康診断で肝機能や中性脂肪の指摘を受けている方、服薬中の方は、飲酒量について必ず主治医の指示に従ってください。
参考にした主な研究・ガイドライン
・厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(厚生労働省)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の飲酒と健康」(e-ヘルスネット)
・Parr et al.(2014)ランダム化クロスオーバー試験/PLoS ONE(PubMed)
よくある質問
Q. トレーニングした日にビールを1杯飲むと、効果は消えますか?
そう言える根拠はありません。よく引用される研究では運動後のアルコール摂取で筋たんぱく質の合成が24〜37%低下したと報告されていますが、その量は体重1kgあたり1.5g、ドリンク約12杯相当で、対象は若い男性8名でした。日常的な1杯に同じ結果を当てはめることはできません。
Q. 1日どのくらいまでなら問題ありませんか?
厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を純アルコールで1日あたり男性40g以上・女性20g以上としています。純アルコール量は「お酒の量(ml)×度数(%)÷100×0.8」で計算でき、ビール5%の500ml缶1本で20g、日本酒1合で約22gです。女性の場合はビール500ml缶1本でその量に届きます。
Q. 女性のほうがお酒に弱いというのは本当ですか?
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、女性は一般的に男性より小柄で体内の水分量が少ないこと、アルコールの代謝能力が平均すると男性の3/4程度であることから、同じ量・同じ体重でも血中のアルコール濃度が高くなると説明されています。そのため生活習慣病のリスクを高める量も、男性40g/日に対し女性は半分の20g/日とされています。
Q. 飲んだあとに運動してもいいですか?
おすすめしていません。バランスや反応の面でいつもと同じようには動けず、重いものを扱う場面ではけがにつながります。飲む予定がある日は、先にトレーニングを済ませる順番にしてください。翌日は量を落としてでも軽く歩く、ストレッチをする程度に動いておくと生活のリズムが崩れにくくなります。
Q. 体を変えたいなら、お酒はやめるべきですか?
TRADではやめることを前提にしていません。続かない方法は結局戻ってしまうためです。お伝えしているのは、量を数字で把握すること、週のうち飲まない日を作ること、トレーニングの直後には重ねないことの3つです。ただし健康診断で指摘を受けている方や服薬中の方は、主治医の指示を優先してください。
生活に合う形で組み立てます|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価するところから始めるパーソナルジムです。お酒・食事・睡眠を含めた生活の実際をうかがったうえで、無理なく続けられる形に落とし込んでいます。禁止を並べる進め方はしていません。
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