「腰痛には硬い布団がよい」と聞いたことはありませんか。実は、この考えを検証した研究があります。慢性の腰痛がある313名を対象にした試験では、硬いマットレスより「中くらいの硬さ」のほうが、寝ているときの痛みも起き上がるときの痛みも良好でした。寝る姿勢についても研究はありますが、こちらは観察研究が6件のみで、因果関係までは分かっていません。東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、分かっている範囲と、今夜からできる工夫をご説明します。
要点まとめ
・「硬いマットレスが腰によい」を支持する根拠は不足していると、研究の著者自身が書いています
・313名の比較試験では、中くらいの硬さのほうが痛みと生活のしづらさで良好でした
・寝る姿勢については、仰向けは腰痛の有訴が少なく、うつ伏せはリスクが高いと報告されています
・横向きは最も多い姿勢で、支え方が良ければ痛みが減り、悪ければ悪化するとされています
・ただし寝る姿勢の研究は観察研究6件のみで、因果関係は示されていません
・痛いから姿勢が変わった、という順序も否定できません
・寝具を変える前に、日中の動きと起き上がり方を見直すほうが現実的なことが多くあります
マットレスの硬さについて分かっていること
2003年に医学雑誌ランセットに掲載された試験があります(Kovacs et al. 2003)。慢性の非特異的な腰痛がある成人313名を対象に、硬いマットレスと中くらいの硬さのマットレスのどちらかに無作為に割り付け、90日後に比較したものです。参加者にも評価者にも、どちらのマットレスかは知らされていません。
結果は、3つの項目とも中くらいの硬さのほうが良好な方向でした。
・寝ているときの痛み…オッズ比 2.36(95%信頼区間 1.13〜4.93)
・起き上がるときの痛み…1.93(0.97〜3.86)
・生活のしづらさ(障害度)…2.10(1.24〜3.56)
この研究の冒頭には、「硬いマットレスが腰痛に良いと一般に信じられているが、それを支持する根拠は不足している」と書かれています。実際にこの試験の結果は、その通説とは逆の方向でした。
限界もお伝えします。まず、これは2003年に行われた研究です。対象は慢性の腰痛がある方で、腰痛のない方にとって最適な硬さを示したものではありません。また、起き上がるときの痛みの信頼区間は0.97〜3.86と1.0をまたいでいますので、この項目については差があると言い切れません。
それでも実務的には十分に役立ちます。腰が痛いから硬い布団に変えた、という方には、その前提が確かめられていないことをお伝えできるからです。
寝る姿勢については、まだ分かっていることが少ない
2025年に発表されたシステマティックレビューでは、寝る姿勢と腰痛の関係を調べた2005年から2024年までの観察研究6件がまとめられています(Saini et al. 2025)。報告されている内容は次のとおりです。
・仰向け…背骨の並びを支え、腰痛の有訴率が低いことと関連していた
・うつ伏せ…腰への負担から、腰痛のリスクが高まるとされた
・横向き…最も多い姿勢で、支え方が良ければ痛みが減り、悪ければ悪化する
・決まった姿勢を取らない方…腰痛との関連はわずかだった
ここは慎重に読んでいただきたいところです。含まれているのは観察研究だけで、しかも6件です。観察研究は「同時に起きていること」を見つけられますが、どちらが原因かは分かりません。腰が痛いからうつ伏せで寝るようになった、という順序も否定できないということです。
ですので、「うつ伏せをやめれば腰痛が減る」とは、この研究からは言えません。うつ伏せで寝ていて特に問題のない方が、無理に姿勢を変える必要もありません。
今夜からできる工夫
研究で決着がついていない以上、ここから先はTRADが現場でお伝えしている工夫です。「これが正解」ではなく、試してみて楽なほうを選んでいただくものとお考えください。
横向きで寝る方…上側の脚が前に落ちると、骨盤と腰がねじれます。両膝のあいだにクッションや畳んだタオルをはさむと、ねじれが減って楽になる方が多くいらっしゃいます。抱き枕がある方はそれでも構いません。
仰向けで寝る方…腰が反って浮いてしまう方は、膝の下に丸めたタオルやクッションを入れて、膝を軽く曲げた状態にすると腰が落ち着きます。反り腰の傾向がある方に有効なことが多い工夫です。反り腰の原因と対策もあわせてご覧ください。
うつ伏せで寝る方…どうしてもこの姿勢が楽という方は、お腹の下に薄いクッションを入れると腰の反りが減ります。首は片側にねじれ続けますので、向く方向を毎晩変えることも試してみてください。
寝返りを打てる余地を残す…同じ姿勢で朝まで動かないほうが、体は固まります。柔らかすぎて沈み込むマットレスは寝返りが打ちにくくなりますので、沈み込みすぎないことも一つの目安です。
朝の痛みは、寝具だけの問題とは限りません
「朝起きたときがいちばん腰が痛い」というご相談は非常に多くいただきます。ただ、その原因を寝具だけに求めると、多くの場合うまくいきません。
実際にお話をうかがうと、日中の座り時間が長い、ほとんど体をひねる動きをしていない、起き上がるときに体をねじって一気に起きているといった要素が重なっていることがよくあります。
起き上がるときは、まず横向きになり、腕で上体を押し上げながら脚を下ろすという順序にすると、腰のねじれが減ります。朝の対処については寝起きの腰の痛み・こわばりの原因で詳しくご説明しています。日中の座り方はデスクワークの正しい座り方をご覧ください。
こんなときは医療機関にご相談ください
夜間に痛みで目が覚める、安静にしていても痛みが強くなる、脚にしびれや力の入りにくさがある、発熱を伴うという場合は、寝具や姿勢の問題として扱わず、整形外科にご相談ください。運動指導は医療行為ではありませんので、私たちが痛みの原因を判断することはできません。
TRADでのご案内の仕方
TRADでは、寝具についてご質問をいただいたときも、「この寝具にしてください」というご案内はしていません。根拠として確かめられているのは、慢性腰痛のある方で中くらいの硬さのほうが良好だったという1つの試験までで、その方に何が合うかまでは分からないからです。
そのかわり、朝と夜で体の状態がどう違うかをうかがうようにしています。朝だけ痛い、夕方になると楽になる、といった時間帯のパターンは、日中の過ごし方を見直す手がかりになります。姿勢と動作の評価とあわせて、その方に何が起きているかを切り分けていきます。完全個室のマンツーマンですので、起き上がり方のような細かい動作もその場で確認できます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・Kovacs et al.(2003)ランダム化二重盲検比較試験/The Lancet(PubMed)
・Saini et al.(2025)システマティックレビュー/Musculoskeletal Care(PubMed)
よくある質問
Q. 腰痛には硬いマットレスがよいのですか?
そうとは限りません。慢性の腰痛がある313名を対象にしたランダム化試験では、硬いマットレスより中くらいの硬さのほうが、寝ているときの痛みと生活のしづらさで良好な結果でした。この研究の著者自身も、硬いマットレスが良いという通説を支持する根拠は不足していると述べています。ただし対象は慢性腰痛のある方で、2003年の研究です。
Q. うつ伏せで寝るのはやめたほうがよいですか?
「やめれば腰痛が減る」とお伝えできる根拠はありません。6件の観察研究をまとめたレビューでは、うつ伏せは腰痛のリスクが高いと報告されていますが、観察研究のみですので因果関係は分かりません。痛いからうつ伏せになった、という順序も考えられます。うつ伏せで問題なく眠れている方が、無理に変える必要はないと考えています。
Q. 横向きで寝るときのコツはありますか?
上側の脚が前に落ちると骨盤と腰がねじれますので、両膝のあいだにクッションや畳んだタオルをはさむと楽になる方が多くいらっしゃいます。抱き枕でも構いません。6件の研究をまとめたレビューでも、横向きは支え方が良ければ痛みが減り、悪ければ悪化するとされています。
Q. マットレスを買い替えれば腰痛はよくなりますか?
買い替えだけで解決するとはお伝えできません。今回ご紹介した試験は、硬さの違いによる差を示したものであり、寝具を変えれば腰痛がなくなることを示したものではありません。朝の痛みには、日中の座り時間や起き上がり方が関わっていることも多くあります。買い替えの前に、そちらを見直してみてください。
Q. 枕の高さはどれくらいがよいですか?
今回この記事を書くにあたって、枕の高さについて信頼できる原典を確認できませんでしたので、具体的な数値はお伝えできません。首が大きく曲がったり反ったりせず、横向きになったときに背骨と首が一直線に近くなる高さが目安になりますが、これは研究に基づく数値ではなく、実際に試して楽なほうを選んでいただくものとお考えください。
姿勢評価つき無料体験は9月末まで|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
朝の腰の痛みは、寝具だけでなく日中の過ごし方が関わっていることが多くあります。TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価するところから始める完全個室のパーソナルジムです。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験(約90分)は9月30日のご来店分まで無料で、10月1日以降は2,750円(税込)となります。9月中にご入会の方は入会金11,000円(税込)が0円、トレーニングチケット1回分をお付けします。
その場でのご契約はお願いしていません。内容を見たうえで、じっくりご検討ください。ご予約は公式LINE、または予約サイト(空き状況を見る)から承っています。

