「駅の階段で息が上がる」「手すりがないと下りるのが怖い」。50代に入ってから、こうしたご相談が増えます。階段は脚の力の弱さが最初に表れる場面です。この記事では、東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、階段のきつさに関係する体の要素と、自宅でできる3つの運動をご説明します。ポイントは、重い物を持ち上げる力よりも「素早く力を出せるか」にあります。
要点まとめ
・階段を上る動作は、片脚で体重を持ち上げる動作の連続です
・移動に制限のある高齢者45名の研究では、脚のパワー(素早く力を出す能力)が階段昇降の時間と関連していました
・脚のパワーと筋力は強く関係しますが(r=.89)、パワーのほうが生活動作をより多く説明していました
・121試験・6,700名をまとめたレビューでは、筋トレで椅子から立ち上がる動作が中〜大の改善、筋力は大きな改善が示されています
・ただし同じレビューで、身体能力全体の改善は「小さい」とされています。過度な期待は禁物です
・自宅では①椅子から素早く立つ ②低い台への昇り降り ③かかと上げの3つから始められます
階段がきつくなるのは、どの力が落ちたからか
平地は歩けるのに階段だけがつらい、という方は珍しくありません。理由はシンプルで、階段は片脚で体重を持ち上げる動作の連続だからです。平地の歩行では体を前に運べば済みますが、階段では体重を上方向に移動させる必要があります。
下りは下りで別の負担があります。着地のたびに、太ももの前の筋肉が伸ばされながらブレーキをかける働きが求められます。「上りより下りのほうが怖い」と感じる方が多いのは、このためです。
研究が示していること
1. 効いているのは「力の大きさ」より「力の出る速さ」
65〜83歳で移動に制限のある方45名を調べた研究(Bean et al. 2002)では、脚のパワーが、階段昇降の時間・椅子から立ち上がる時間・歩行速度などと有意に関連し、それらのばらつきの12〜45%を説明していました。
脚のパワーとは、「どれだけ大きな力を、どれだけ素早く出せるか」を表す指標です。ゆっくり重い物を持ち上げる力(筋力)とは似て非なるものです。この研究では、パワーと筋力は強く相関していましたが(r=.89)、それでも6つの指標のうち5つで、パワーのほうが最大8%多くばらつきを説明していました。
階段を上るとき、私たちは体を持ち上げるための力を、一段ごとに素早く出しています。ゆっくりであれば持ち上げられる方でも、テンポよく上れなくなるのは、この「速さ」の部分が落ちているためと考えられます。
ただしこの研究は45名の横断的な調査であり、65〜83歳で移動に制限のある方が対象です。50代の方にそのまま当てはまるとは限りませんし、原因と結果を確かめたものでもありません。
2. 筋トレで変わるところと、変わりにくいところ
高齢者への筋力トレーニングを調べた121試験・6,700名をまとめたコクランレビュー(Liu & Latham 2009)では、多くの試験で週2〜3回・高めの強度が行われていました。結果は次のとおりです。
・筋力:大きな改善(73試験・3,059名)
・椅子から立ち上がる動作:中〜大の改善(11試験・384名)
・歩行速度:毎秒0.08メートルの改善(24試験・1,179名)
・身体能力全体:小さいが有意な改善(33試験・2,172名)
正直にお伝えすると、身体能力全体の改善は「小さい」という結果です。一方で筋力そのものと、椅子から立ち上がる動作は、はっきり変わります。「筋トレをすれば生活のすべてが楽になる」ではなく、「立ち上がる・持ち上げるといった動作から変わっていく」と受け取るのが正確です。
なお同レビューでは、変形性関節症のある方で痛みの軽減も報告されています(6試験・503名)。重篤な有害事象はまれでしたが、有害事象の記録が十分ではなかったと著者自身が限界に挙げています。
自宅でできる3つの運動
1. 椅子から素早く立つ
椅子に浅めに座り、立ち上がるときだけ素早く、座るときはゆっくり3秒かけます。5回×2〜3セットが目安です。手すりや机に手を添えて構いません。
ねらいは、先ほどの「素早く力を出す」練習です。回数を増やすよりも、1回目と同じ速さで立てているかを目安にしてください。速さが落ちてきたらそのセットは終わりです。膝や腰に痛みが出る場合は行わないでください。
2. 低い台への昇り降り
階段一段分(15〜20cm程度)の安定した台を使い、片脚で昇って、同じ脚でゆっくり降ります。左右各5〜8回×2セットを目安にします。必ず手すりや壁に手を添えて行ってください。
降りるときに3秒かけてゆっくり下ろすことがポイントです。階段の下りで求められるブレーキの働きを、安全な高さで練習できます。膝が内側に入る場合は、台を低くしてください。
3. かかと上げ
ふくらはぎは、階段を蹴り出す場面で使われます。壁に手をついて両足でかかとを上げ、3秒かけて下ろします。10〜15回×2セットが目安です。慣れてきたら片脚で行います。詳しいやり方はカーフレイズのやり方でご説明しています。
余裕が出てきたら、片脚で前後に開いて行うスプリットスクワットを加えると、階段に近い動きの練習になります。
今の状態を測っておく
始める前に、今の状態を記録しておくことをおすすめします。椅子から立ち座りを繰り返し、30秒で何回できるかを数えておくだけでも、2か月後に見返す材料になります。転倒の危険がない場所で、椅子が動かないことを確認してから行ってください。
体力の目安については50代からの体力チェックにまとめています。
こんなときは無理をしないでください
階段で膝や股関節に痛みが出る、膝が崩れる感じがある、息切れが以前より明らかに強い、胸が苦しいといった場合は、運動を増やす前に医療機関でご相談ください。特に息切れや動悸は、脚の力とは別の原因のことがあります。運動指導は医療行為ではありませんので、原因を判断することはできません。階段で膝が痛む場合は階段で膝が痛くなる原因もご覧ください。
TRADでのご案内の仕方
「階段がきつい」というご相談をいただいたとき、TRADではすぐに脚を鍛え始めることはしません。片脚で体重を支えられているか、足首や股関節が動いているかを評価してから、必要な運動を組み立てます。
脚の力が落ちている方もいれば、力はあるのに片脚になった瞬間にバランスが崩れる方もいらっしゃいます。この二つでは、やるべき運動が変わります。完全個室のマンツーマンですので、台の高さやテンポをその場で調整できます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・Bean et al.(2002)横断分析/Journal of the American Geriatrics Society(PubMed)
・Liu & Latham(2009)コクランレビュー/Cochrane Database of Systematic Reviews(PubMed)
よくある質問
Q. 階段がきついのは年齢のせいで仕方ないのでしょうか?
年齢だけで決まるものではありません。121試験・6,700名をまとめたレビューでは、筋力トレーニングによって筋力は大きく、椅子から立ち上がる動作は中〜大の改善が報告されています。ただし身体能力全体の改善は小さいとされており、階段のつらさがすべて解消するとお約束できるものではありません。
Q. 重い物を持てれば階段も楽になりますか?
必ずしもそうとは限りません。移動に制限のある高齢者45名の研究では、脚のパワー(素早く力を出す能力)のほうが、階段昇降の時間などをより多く説明していました。ゆっくり大きな力を出す練習だけでなく、立ち上がりを素早く行う練習も取り入れることをおすすめします。
Q. 家の階段で練習してもよいですか?
練習の場としては使えますが、必ず手すりを使い、上りだけにするなど範囲を決めてください。下りは転倒したときの危険が大きいため、まずは15〜20cm程度の安定した台で、ゆっくり降りる練習から始めるほうが安全です。滑りやすい靴下は避けてください。
Q. どのくらいの頻度で行えばよいですか?
先ほどのレビューでは、多くの試験が週2〜3回で行われていました。ご自宅で行う場合も、週2回程度から始めるのが現実的です。毎日行う必要はありません。翌日に強い疲れが残る場合は、回数かセット数を減らして調整してください。
Q. 息切れがひどいのですが、脚を鍛えれば改善しますか?
息切れは、脚の力とは別の原因で起きていることがあります。以前より明らかに息切れが強い、胸が苦しい、安静時にも動悸がするという場合は、運動を増やす前に医療機関でご相談ください。運動指導では原因を判断することができません。
姿勢評価つき無料体験は9月末まで|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
階段のきつさは、脚の力だけでなく、片脚で支える力やバランスの取り方も関わります。TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価するところから始める完全個室のパーソナルジムです。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験(約90分)は9月30日のご来店分まで無料で、10月1日以降は2,750円(税込)となります。9月中にご入会の方は入会金11,000円(税込)が0円、トレーニングチケット1回分をお付けします。
その場でのご契約はお願いしていません。内容を見たうえで、じっくりご検討ください。ご予約は公式LINE、または予約サイト(空き状況を見る)から承っています。

