「ふくらはぎが細くなった気がする」「階段で脚が重い」——40代以降の方からよくうかがうお話です。ふくらはぎを鍛える代表的な種目がカーフレイズ(かかとの上げ下げ)です。結論からお伝えすると、カーフレイズは道具なしで始められる一方、上げ下げの速さ次第で効き方がまるで変わる種目です。この記事では、東海市・太田川駅徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、基本のフォーム・回数の目安・よくある間違い、そして「これをやれば歩くのが速くなる」とまでは言えない理由をご紹介します。
要点まとめ
・カーフレイズは、かかとを上げ下げしてふくらはぎを鍛える種目です
・ふくらはぎは腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋の2つに分かれ、膝を伸ばすか曲げるかで働く割合が変わります
・始め方の目安は両脚で10〜15回×2セット。慣れてから片脚に進みます
・大切なのは回数より下ろすときにゆっくり止めることと、反動を使わないことです
・ふくらはぎの筋力とバランス・歩行速度には関連が報告されていますが、「鍛えれば速く歩けるようになる」と示した研究ではありません
ふくらはぎは何をしている筋肉か
歩くとき、足で地面を後ろに押して体を前に送り出す局面があります。この蹴り出しを主に担っているのが、ふくらはぎからアキレス腱につながる筋肉です。加齢とともに落ちやすい部位でもあり、歩幅が狭くなる、階段の上りがつらくなるといった変化と重なって語られることが多い場所です。
もうひとつの役割が、立っているあいだの微調整です。人の体は真っすぐ立っているつもりでも、常に前後にわずかに揺れています。その揺れを足首まわりで受け止め、倒れないように押し戻しています。
腓腹筋とヒラメ筋|膝の角度で役割が変わる
ふくらはぎの表側にある腓腹筋は、膝関節をまたいでいます。そのため膝を伸ばした状態で強く働きます。その奥にあるヒラメ筋は膝をまたいでいませんから、膝を曲げても働きは残ります。
つまり、膝を伸ばして行うカーフレイズは腓腹筋の割合が高く、膝を曲げて行うと相対的にヒラメ筋側に寄るということです。この違いを知っているだけで、種目の選び方が変わります。
カーフレイズの基本のやり方
ステップ1|立ち方を決める
足を腰幅に開き、つま先はまっすぐ前に向けます。壁や椅子の背もたれに指を軽く添えてください。支えは「体重を預けるため」ではなく「ふらつきを止めるため」です。強く握ると腕で体を引き上げてしまいます。
足の裏は、親指の付け根・小指の付け根・かかとの3点で床をとらえておきます。ここが崩れると、上げたときに足首が外側へ逃げます。
ステップ2|かかとを上げる(2秒)
ゆっくりかかとを持ち上げ、母趾(親指)の付け根で床を押す感覚で最後まで上げきります。上げたところで1秒止めてください。この「止める」が入るかどうかで、同じ回数でも中身がまったく変わります。
目線は前です。上げるときに上体が前へ流れる方が多いので、頭の位置を動かさないよう意識してみてください。
ステップ3|かかとを下ろす(3〜4秒)
ここが最も大切な部分です。下ろすときこそゆっくり、床にかかとが着く直前でいったん止めます。落とすように下ろすと、筋肉ではなくアキレス腱で受け止める形になり、負担のわりに手応えが出ません。
回数の目安|まずは両脚10〜15回×2セットから
TRADでお伝えしている始め方の目安は、両脚で10〜15回×2セットです。楽に感じるようになったら、①下ろす時間を長くする②段差を使って可動域を広げる③片脚に切り替える、の順に進めます。いきなり片脚から始めないことをおすすめしています。片脚は体重がそのままかかるため、フォームが崩れたまま回数だけ重ねやすくなります。
頻度については、厚生労働省の運動ガイドが筋力トレーニング全般について週2〜3日を推奨しています。翌日に強い張りが残らない範囲から始めてください。
膝を曲げたカーフレイズも入れておく
椅子に浅く腰かけ、膝を90度くらいに曲げたまま、かかとだけを上げ下げします。太ももの上に手を置いて軽く押さえると分かりやすくなります。立って行う形と、座って(膝を曲げて)行う形の両方を入れておくと、ふくらはぎの表側と奥側の両方に働きかけられます。
よくある3つの間違い
1. 反動で弾む——テンポよく上下させると、筋肉ではなくアキレス腱のばねを使うだけになります。回数を減らしてでも、止める時間を作ってください。
2. 可動域が狭い——かかとが数センチしか上がっていないケースです。「これ以上は上がらない」ところまで上げきります。逆に下ろすときも、床に触れるところまで戻します。
3. 足首が外側に逃げる——上げたときに小指側へ体重が寄る形です。鏡で後ろから見ると分かりやすいのですが、ご自宅では「親指の付け根で押す」と決めておくほうが確実です。足のアーチが落ちている方に起こりやすく、足のアーチが崩れると姿勢も崩れるでご紹介した内容とつながります。
何回できれば十分ですか、という質問について
研究の世界では、ふくらはぎの持久力を片脚で限界まで反復する検査で測ります。20〜81歳の566名を調べた報告では、限界までの回数の中央値は男性24回・女性21回でした(Hébert-Losier et al. 2017)。一般の方500名を対象にした別の報告でも、中央値は利き脚25回・非利き脚24回とされています(Visser et al. 2025)。
ただし、これらは片脚で、10度の傾斜台の上で、決められたテンポで行う検査条件での数字です。しかも後者は参加者の88%に運動習慣があった集団です。ご自宅で両脚で行った回数と直接比べられるものではありませんので、「24回できないと不足している」という読み方はしないでください。
ご自身の変化を追うなら、他人との比較より左右差と先月の自分を見るほうが実際的です。
期待しすぎないほうがよい部分
「鍛えれば歩くのが速くなる」「歩き方が変わる」といった言い方をよく見かけます。ここは正確にお伝えしておきます。
34件の研究・計2,673名(うち高齢者2,152名)をまとめたレビューでは、高齢者においてふくらはぎの筋力と体勢を立て直す能力との関連は中程度(相関係数0.42)、予測的なバランスとの関連も中程度(0.55)でしたが、通常の歩行速度との関連は弱い(0.29)と報告されています(Tavakkoli Oskouei et al. 2021)。そしてこのレビューは、対象がいずれもある時点を切り取った横断研究であり、因果関係は示せないと明記しています。
言えるのは「ふくらはぎの筋力と、とっさに立て直す力には関連が見られた」までです。鍛えたから速く歩けるようになった、という証明ではありません。TRADでも、ふくらはぎだけを鍛えれば歩き方が変わるとはご説明していません。足の指・足首・股関節・体幹のどこが動いていないかを確かめたうえで、必要な順番を組み立てています。
ふくらはぎの働きも含めて、バランスそのものを確かめたい方は片脚立ちは何秒できますかもあわせてご覧ください。
こんなときは無理をしないでください
ふくらはぎがつりやすい方は、回数を追う前に水分・ミネラル・疲労のほうを確認してください(夏に増えるこむら返りの原因)。夕方の脚のだるさやむくみが気になる方は、強く鍛えるよりこまめに動かす回数のほうが生活に組み込みやすい場合があります(40代から増える足のむくみ)。
アキレス腱に痛みがある、かかとを上げると鋭い痛みが走る、片側だけ極端に力が入らない——こうした場合は自己判断で続けず、医療機関にご相談ください。
参考にした主な研究・ガイドライン
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:筋力トレーニングについて(e-ヘルスネット)
・Tavakkoli Oskouei et al.(2021)システマティックレビュー・メタアナリシス/Physical Therapy
・Hébert-Losier et al.(2017)横断研究/Physiotherapy(PubMed)
・Visser et al.(2025)横断研究/Brazilian Journal of Physical Therapy(PubMed)
よくある質問
Q. カーフレイズは何回やればいいですか?
始め方の目安は両脚で10〜15回×2セットです。楽に感じるようになったら、下ろす時間を長くする、段差を使って可動域を広げる、片脚に切り替える、の順に進めます。回数を増やすより、上げきったところで止め、下ろすときにゆっくり時間をかけるほうが中身が変わります。
Q. 膝は伸ばすのと曲げるの、どちらが正しいですか?
どちらも役割があります。ふくらはぎの表側にある腓腹筋は膝関節をまたいでいるため膝を伸ばした状態で働き、奥にあるヒラメ筋は膝をまたいでいないため膝を曲げても働きが残ります。立って行う形と、椅子に座って膝を曲げて行う形の両方を入れておくと、両方に働きかけられます。
Q. 段差を使ったほうが効果的ですか?
かかとを下げられるぶん動く範囲は広がりますが、最初から段差を使う必要はありません。平らな床で反動を使わずに行えるようになってからで十分です。段差で行う場合は必ず手すりや壁に手を添え、下ろしすぎて痛みが出る手前で止めてください。
Q. 毎日やってもいいですか?
厚生労働省の運動ガイドは、筋力トレーニング全般について週2〜3日を推奨しています。毎日行うこと自体が問題というより、翌日に強い張りや痛みが残る量を続けることが問題になります。張りが抜けない日は回数を減らすか休んでください。
Q. ふくらはぎを鍛えると歩くのが速くなりますか?
そう言い切れる根拠はありません。34件・計2,673名をまとめたレビューでは、高齢者のふくらはぎの筋力と通常歩行速度の関連は弱く(相関係数0.29)、体勢を立て直す能力との関連が中程度(0.42)と報告されています。しかもこれらは横断研究であり、因果関係は示せないと原典も明記しています。関連が見られた、というところまでが正確な受け止め方です。
足元から動きを整える|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価するところから始めるパーソナルジムです。トレーナーの中森はEBFAベアフットトレーニングスペシャリストとして、足の指・足首・ふくらはぎの状態を確認したうえで、必要な種目と順番を組み立てています。
姿勢カウンセリング付きの無料体験を受付中です。その場での即決はお願いしていませんので、じっくりご検討ください。
TRADパーソナルコンディショニングジム
〒477-0031 愛知県東海市大田町前田33-1 2階
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