洋服を合わせているときや鏡の前で、「片方の肩だけ高い(低い)」と気づいて不安になる方がいらっしゃいます。先に結論をお伝えすると、肩まわりの左右差は珍しいものではありません。痛みのない方を調べた研究でも、肩甲骨の動きの左右差は一定の割合で見つかっています。ただし「だから気にしなくていい」とも言い切れません。東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、見た目の高さより先に確かめたいことをご説明します。
要点まとめ
・左右差そのものは、痛みのない方にも普通にあります
・痛みのないプロ選手108肩を調べた研究では、28.7%に肩甲骨の動きの異常があり、研究より前にそれを診断されていた選手は1人もいませんでした
・アスリート419名の追跡をまとめた分析では、肩甲骨の動きに異常がある方の35%が9〜24か月のあいだに肩の痛みを経験し、異常のない方でも25%が経験していました
・つまり「左右差がある=必ず痛くなる」でも「左右差がない=痛くならない」でもありません
・確かめたいのは高さそのものより、腕を上げ下げしたときの左右の動き方です
・背中の片側が明らかに盛り上がる、短期間で急に変わった、痛みやしびれがある場合は医療機関にご相談ください
研究で分かっているのは「肩の高さ」より「肩甲骨の動き」です
正直なところからお伝えします。今回この記事を書くにあたって、「肩の高さの左右差」そのものを主な指標として調べた質の高い研究を、私たちは見つけられませんでした。
近いものとして研究が積み重ねられているのは、肩甲骨の位置と動きの異常についてです。肩甲骨は背中の上のほうにある三角形の骨で、腕を上げるときに一緒に回ります。この回り方が左右で違う、あるいは片側だけ背中から浮くといった状態が、研究の対象になっています。肩の高さとまったく同じものではありませんが、実際に見た目の左右差として現れることが多いため、ここではその研究をご紹介します。
痛みのない人にも、左右差は普通にある
2025年に報告された研究では、肩に症状のないヨーロッパのプロバスケットボール選手54名(108肩)を調べています(Paksoy et al. 2025)。平均年齢は23.9歳です。
・28.7%(108肩のうち31肩)に肩甲骨の動きの異常がありました
・研究より前にそれを診断されていた選手は、1人もいませんでした
ただし、同じ研究では別の面も報告されています。動きの異常がある肩は、本人の主観的な点数がわずかに低く(95.0%対99.0%)、腕を横から上げる可動域もわずかに小さいという結果でした(171.8度対176.6度)。過去12か月に痛みがあった肩では、異常の割合が高くなっていました(10肩のうち6肩に対し、痛みのなかった98肩では25肩)。ただし前者は10肩という小さな数の比較です。
原典は、「競技による適応かもしれないが、機能の低下や痛みとの関連は臨床的な意味があることを示唆する」という慎重な書き方をしています。この研究の対象は平均24歳のプロ選手ですので、40〜60代の方にそのまま当てはまる数字ではないという点はご承知おきください。
では、放っておいてよいのか
ここが判断の分かれ目です。前向きに追跡した5件の研究をまとめた分析(Hickey et al. 2018)では、症状のないアスリート419名を9〜24か月追跡し、次の結果が報告されています。
・肩甲骨の動きに異常がある方…35%(160名中56名)が肩の痛みを経験
・異常がない方…25%(259名中65名)が肩の痛みを経験
・リスク比 1.43(95%信頼区間 1.05〜1.93)
この「43%増加」という数字は、ニュースの見出しになりやすい形です。ただ、元の数字を見れば読み方が変わります。異常がない方でも4人に1人は痛みを経験していますし、異常がある方でも3人に2人は痛みが出ていません。「左右差があるから危ない」でも「ないから安心」でもない、というのが正直なところです。
また、この研究の対象もアスリートに限られており、5件・419名と規模も大きくありません。デスクワーク中心の40〜60代の方に、この数字をそのまま当てはめることはできません。
高さより、動きを見てください
左右差を気にされる方に、TRADでいつもお伝えしているのはこの点です。止まっているときの高さより、動かしたときの左右の違いのほうが情報が多いということです。ご自宅でできる確かめ方を3つご紹介します。
1. 腕を前から上げる…両腕をゆっくり前から真上まで上げ、同じ速さで下ろします。途中で片側だけ引っかかる、上がりきらない、肩がすくむという違いがないかを見ます。鏡の正面で行うか、ご家族に見てもらうとわかりやすくなります。
2. 背中側を見てもらう…壁に向かって立ち、両腕を前から上げ下げするところを、後ろから見てもらいます(動画で撮っても構いません)。片側の肩甲骨だけ背中から浮く、下の角が飛び出すという違いが出ることがあります。
3. 左右で楽さが違うか…同じ動きをして、片側だけ「重い」「引っかかる」という感覚があるかどうかです。見た目に差がなくても感覚に差があることも、その逆もあります。
3つとも、差があったからといって何かの病気を意味するものではありません。次に何をするかを決めるための材料とお考えください。腕が上がりにくい状態が続いている方は50代から肩が上がりにくくなる理由もあわせてご覧ください。
左右差の背景として考えられること
ここは研究で決着がついている話ではないため、現場で多い傾向としてお読みください。かばんをいつも同じ側で持つ、頬づえをつく、横向きで寝る側が決まっている、片側の腕をよく使う仕事をしている、といった日常の偏りが背景にあることは少なくありません。
ただし、これらが原因だと断定することはできません。利き手側の肩が下がりやすいという話もよく耳にしますが、それが誰にでも当てはまるかを示した根拠を、私たちは確認できていません。「かばんを反対に持ち替えれば左右差がなくなる」という説明も、同じ理由でおすすめしていません。
できることは「差をなくす」より「動きを増やす」
左右差を数値としてゼロにすることを目標にすると、うまくいかないことがほとんどです。TRADでは、肩甲骨と胸まわりが動く範囲を増やし、両側とも扱えるようにするという方向でご提案しています。具体的には次のような順序です。
1. 背骨(胸のうしろ)の動きを出す…肩甲骨は胸郭の上をすべるように動くので、その土台が硬いと肩甲骨だけ動かそうとしても限界があります。胸椎が硬いと猫背になる理由でご説明しています。
2. 肩甲骨まわりを動かす…肩甲骨が硬い人のエクササイズで扱っている動きが入口になります。
3. 支える筋肉を働かせる…動く範囲が出てきたら、そこで支えられるようにします。肩のインナーマッスル(腱板)の鍛え方や背中を鍛えるエクササイズが該当します。
左右差がある場合でも、片側だけを鍛えることは基本的にしません。動きにくい側は回数や範囲を無理に合わせず、その方が扱える範囲で行っていただきます。
こんなときは医療機関にご相談ください
前かがみになったときに背中の片側だけが明らかに盛り上がる、短期間で急に左右差が変わった、肩や腕に痛み・しびれ・力の入りにくさがある、腕が明らかに上がらないという場合は、整形外科にご相談ください。特にお子さんや成長期の方で背中の左右差が気になる場合は、まず医療機関での確認をおすすめします。運動指導は医療行為ではありませんので、私たちが原因を判断することはできません。
TRADでのご案内の仕方
TRADでは、体験の最初に姿勢と動作の評価を行います。そのとき、肩の高さは写真に残せる情報の1つとして確認しますが、それだけで方針を決めることはしません。腕を上げたときの肩甲骨の動き、胸のうしろの硬さ、支える筋肉が働いているかを合わせて見ます。
「左右差がある」とお伝えするだけでは不安を増やすだけですので、その差が動きにどう出ているか、日常のどの場面に関係しそうかまで含めてご説明しています。完全個室のマンツーマンですので、ご自分では見えない背中側の動きもその場でお伝えできます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・Hickey et al.(2018)システマティックレビュー+メタ分析/British Journal of Sports Medicine(PubMed)
・Paksoy et al.(2025)横断研究/Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy(PubMed)
よくある質問
Q. 肩の高さが左右で違うのは異常ですか?
左右差そのものは珍しいものではありません。肩に症状のないプロバスケットボール選手108肩を調べた研究では、28.7%に肩甲骨の動きの異常が見つかり、研究より前にそれを診断されていた選手は1人もいませんでした。ただし、背中の片側が明らかに盛り上がる、短期間で急に変わった、痛みやしびれを伴うという場合は医療機関にご相談ください。
Q. 左右差があると、将来肩を痛めますか?
必ずそうなるわけではありません。アスリート419名を9〜24か月追跡した5件の研究をまとめた分析では、肩甲骨の動きに異常がある方の35%が肩の痛みを経験しましたが、異常がない方でも25%が経験していました。異常がある方の3人に2人は痛みが出ていない計算になります。対象がアスリートに限られている点も含めて、幅のある情報とお考えください。
Q. かばんを持つ側を変えれば直りますか?
そう説明されることは多いのですが、それを確かめた根拠を私たちは確認できていません。日常の偏りが背景にあることは実際に多いので、持ち替えること自体は悪いことではありません。ただ「持ち替えれば左右差がなくなる」という言い方は避けています。
Q. 低いほうの肩だけを鍛えたほうがよいですか?
基本的にはおすすめしていません。左右差を数値としてゼロにすることを目標にすると、かえって行き詰まりやすくなります。両側とも動く範囲を増やし、そのうえで支える力をつけていく方向をご提案しています。動きにくい側は、無理に回数を合わせないことも大切です。
Q. 自分でどこを見ればよいですか?
止まっているときの高さより、動かしたときの違いを見てください。両腕を前からゆっくり真上まで上げ、同じ速さで下ろしたときに、片側だけ引っかかる・上がりきらない・肩がすくむといった違いがないかを確認します。背中側は自分では見えませんので、ご家族に見てもらうか、動画で撮ると確認しやすくなります。
姿勢評価つき無料体験は9月末まで|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
左右差は、あるかないかより「動きにどう出ているか」で意味が変わります。TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価するところから始める完全個室のパーソナルジムです。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験(約90分)は9月30日のご来店分まで無料で、10月1日以降は2,750円(税込)となります。9月中にご入会の方は入会金11,000円(税込)が0円、トレーニングチケット1回分をお付けします。
その場でのご契約はお願いしていません。内容を見たうえで、じっくりご検討ください。ご予約は公式LINE、または予約サイト(空き状況を見る)から承っています。

