「腹筋をすればいいと言われたけれど、続けても変わった気がしない」——反り腰のご相談で本当によくいただくお話です。反り腰を改善するトレーニングは、①股関節の前側をゆるめる ②お腹の深い部分とお尻を働かせる ③日常の動きに戻す、という順番で組み立てます。腹筋運動だけでは立ち姿勢の反りが変わりにくいことは、実際に測った研究でも報告されています。TRADでの目安は、1回10〜15分・週2〜3回です。
要点まとめ
・反り腰へのトレーニングは「ゆるめる → 働かせる → 日常の動きに戻す」の順で組み立てます
・かたくなりやすいのは股関節の前側(脚の付け根・もも前)、働きにくくなりやすいのはお腹の深い部分とお尻です
・上体起こしのような腹筋運動だけでは立ち姿勢の反りは変わりにくいことが、実際に測った研究で報告されています
・目安は1回10〜15分、週2〜3回。変化は数週間単位で見ます(TRADでご案内している目安です)
・腰を反らせたまま行うと、狙った部位に効きにくくなります。フォームが崩れたら回数を減らします
反り腰を改善するトレーニングは「順番」で組み立てます
反り腰とは、骨盤が前に傾き、腰の反りが強くなった状態です。骨盤が前に傾くというのは、お尻が後ろへ突き出すように倒れること、とイメージしてください。
長く座る時間が続いたり、脚の付け根やもも前がかたくなったりすると、骨盤が前に引かれやすくなると考えられています。お腹の深い部分やお尻が働きにくくなっている方も少なくありません。ただし、どれか一つが原因と言い切れるものではありません。くわしい原因は反り腰の原因とは?腰痛との関係と自分でできる対策にまとめています。
この記事でお伝えしたいのは、その先の「何をするか」です。差が出るのは順番でした。8週間・週3回のプログラムで腰の反りの角度が小さくなったと報告されている研究(対象は18〜30歳の女性30名、専門家の指導つき)でも、いきなり筋トレから入るのではなく、かたい部分を抑える→伸ばす→働かせる→動きに統合する、という段階を踏む構成が採られています。
TRADでも、次の3つのステップに分けてご案内しています。
1. ゆるめる:かたくなりやすい股関節の前側(脚の付け根・もも前)を伸ばします
2. 働かせる:お腹の深い部分とお尻に、腰を反らせずに力を入れられるようにします
3. 日常の動きに戻す:立ち方・かがみ方に反映させます
東海市の当ジムでも、種目を増やす前にこの順番を確かめるところから始めます。
「腹筋だけ」では反り腰が変わりにくいと考えられる理由
測ってみると、腹筋の強さと骨盤の傾きは連動していませんでした
健康な成人31名(20〜33歳)を測った研究では、腹筋の機能と骨盤の傾きの相関はρ=0.18、腰の反りとの相関は0.06で、ほとんど連動していないという結果でした。
無症状の成人90名(男性は平均54.8歳、女性は平均58.9歳)を対象にした研究でも、立った姿勢での骨盤の傾きと腰の反りの深さに相関は見られませんでした。この記事を読んでくださっている方の年代に近いデータです。ただし、どちらも一時点の関係を見た横断研究であり、トレーニングをした結果を調べたものではありません。
では腹筋のトレーニングは不要なのでしょうか
不要という意味ではありません。これは一時点の関係を見た横断研究ですが、その著者らが述べているのは「姿勢の是正を目的とした腹筋強化運動やストレッチの有効性は疑問視すべきだ」ということです。腹筋そのものの否定ではなく、姿勢を変えるという目的での使い方に対する問いかけだと読むのが妥当だと考えています。
体験でも「腹筋なら毎晩やっています」というお話をよくうかがいます。そのときに見ているのは回数ではありません。上体を起こす瞬間に腰が浮いていないか。ここが変わらないまま回数だけ増えると、反り腰の姿勢は残りやすくなります。だからTRADでは、腹筋の量よりも腰を反らせずにお腹を働かせられるかを先に見ています。
ステップ1|かたくなりやすい股関節の前側をゆるめる
デスクワークで長く座った日の夕方、立ち上がった瞬間に腰が張る。そんな感覚がある方は、股関節の前側が縮んだままになっていることがあります(股関節が硬いと腰痛が起こる仕組み)。
股関節の前側のストレッチを片脚30秒ずつ毎日6週間続けた研究(対象は平均24歳の若い成人)では、股関節を後ろに伸ばす可動域が約6度広がり、片脚での跳躍距離も伸びました。ただし骨盤の傾きや腰の反りそのものは測っていません。股関節の前側の柔らかさとお尻の力の出しやすさには関連がありそうだ、という間接的な手がかりとして受け取ってください。
脚の付け根を伸ばすストレッチ(腸腰筋)
1. 片ひざを床につき、もう片方の脚を前に踏み出します
2. お腹を軽くへこませ、お尻の力で骨盤を後ろに起こします
3. その形のまま、体をゆっくり前へ移動させます
大事なのは2番です。ここを飛ばすと、腰を反らせて前に出るだけの動きになり、脚の付け根はほとんど伸びません。
もも前を伸ばすストレッチ(大腿四頭筋)
1. 横向きに寝て、上側の足首を手で持ちます
2. お腹を軽くへこませたまま、かかとをお尻へ近づけます
3. ひざが前に流れないよう、太ももを軽く後ろへ送ります
立って行う形よりも、横向きのほうが腰を反らせずに済みます。
TRADでは、どちらのストレッチも20〜30秒キープを左右各2回ずつ、を目安にご案内しています。痛みのない範囲で行ってください。
ステップ2〜3|お腹の深い部分とお尻を働かせ、日常の動きに戻す
ゆるめただけでは、姿勢は戻りやすいものです。先ほどの8週間のプログラム(18〜30歳の女性が対象)でも、ストレッチのあとに「働かせる」「動きに統合する」段階が続き、お尻の筋肉の働きにも改善が見られたと報告されています。
呼吸で肋骨を下げる(お腹の深い部分のスイッチを入れる)
あお向けでひざを立て、鼻から吸って口から細く長く吐きます。吐ききったときに肋骨の前側が下がり、お腹が締まる感じがあれば十分です。反り腰の方は、ここで腰と床のすき間が少し減ります。TRADでは5〜10呼吸を目安にご案内しています。
デッドバグ(腰を反らせずに手脚を動かす)
あお向けで両手・両ひざを天井に向け、対角の手と脚をゆっくり伸ばす種目です。手順はデッドバグのやり方をご覧ください。
気をつけたいのは脚を下ろす角度です。腰が床から浮いた瞬間が、今の限界だと考えてください。浮く手前で止めれば、範囲が小さくてもお腹の深い部分は働きます。現場では左右交互に5〜8往復を1〜2セットくらいから始めていただくことが多いです。
ヒップリフト(腰でなくお尻で持ち上げる)
あお向けでひざを立て、お尻を持ち上げます。手順はヒップリフトの正しいやり方、お尻と腰の関係はお尻の筋力低下が腰痛を招く理由で扱っています。
よくあるのが、もも裏がつるパターンです。多くの場合、お尻ではなく腰を反らせて持ち上げています。お腹を軽くへこませ、恥骨をおへその方向へ引き上げてから動き出すと、お尻に乗りやすくなります。TRADでは8〜10回を2セット、を目安にご案内しています。
立ち方とかがみ方に戻す
最後は日常です。床のものを拾う、洗面台で前かがみになる。この動きを腰ではなく股関節から折れるようにすると、練習した形が生活に残ります(ヒップヒンジのやり方)。エクササイズは、日常の動きに反映されて初めて意味を持ちます。
回数・週の頻度・どのくらいで見直すか
研究では、どれくらいの期間で変化が見られているか
18〜30歳の女性30名を対象に、専門家の指導つきで8週間・週3回のプログラムを行った研究では、腰の反りの角度が約50度から約44度へ小さくなったと報告されています。
20〜40歳の座りがちな男性75名(女性は対象に含まれていません)を対象にした研究では、6週間・週2回のコア安定化エクササイズで、腰の反りの角度が対照群と比べて有意に改善しました。ただし改善の幅は約1.9〜3.4度で、数値としては小さいものです。
いずれも40〜60代を対象にした研究ではなく、同じ結果がそのまま当てはまるとは言えません。なお筋力トレーニングの頻度は、厚生労働省のガイドで成人・高齢者ともに週2〜3日が推奨されていますが、これは運動全般の一般的な指針で、反り腰に特化した数値ではありません。
TRADでご案内している目安
TRADでは、ここまでをまとめて1回10〜15分、週2〜3回を目安にご案内しています。毎日たくさんやるより、腰を反らせずに行える範囲で続けていただくほうが、手応えが出やすいと感じています。
見直しの区切りは、まず4〜8週間です。鏡で分かるほどの変化を毎週探すと、続かなくなってしまいます。「立っているときの腰の張り方」「お腹の力の入れやすさ」といった日常の感覚のほうが、先に変わってくることが多いです。
反り腰のときに気をつけたい動きと、うまくいっていないサイン
「この種目は反り腰に悪い」という考え方は、あまり実用的ではありません。同じ種目でも、腰を反らせたまま行うかどうかで意味が変わるからです。次のようなサインが出ていないか、確認してみてください。
・上体起こしで、腰が床から浮く/首だけが前に出る
・ヒップリフトで、お尻ではなくもも裏がつる
・両手を上に挙げると、肋骨の前側が開いて腰が反る
・立っているだけで、だんだん腰が張ってくる
これらは種目が悪いのではなく、狙った部位ではなく腰で代わりに動いているサインです。回数を減らす、動かす範囲を小さくする。この2つで十分に調整できます。
腰に痛みがあるとき、脚のしびれを伴うときは、自己判断で続けずに整形外科などの医療機関にご相談ください。
同じ反り腰でも、かたい場所と働いていない場所は人によって違います
「一通りやってみたけれど、自分に合っているのか分からない」。ここでつまずく方が、いちばん多いように思います。順番の考え方は共通でも、どこがかたくてどこが働いていないかは一人ひとり違います。片側の股関節だけがかたい方もいれば、足元から整えたほうが早い方もいらっしゃいます。
TRADでは、トレーナーの中森允崇(JATI認定トレーニング指導者/EBFAベアフットトレーニングスペシャリスト)が姿勢と動作の評価から始めます。何をどれだけやるかを決める前に、まず今の体を見るという順番です。見ている項目は姿勢評価とは?7つのチェック項目で紹介しています。
なお、TRADが行うのは運動指導・コンディショニングであり、診断や治療は行いません。医療的な判断が必要な場合は、医療機関との役割分担を前提にご案内しています。
東海市・太田川駅から徒歩4分、完全個室のマンツーマン指導です。姿勢カウンセリング付きの無料体験もありますので、気になった方はじっくりご検討ください。
よくある質問
Q. 反り腰は腹筋を鍛えれば改善しますか?
腹筋を鍛えることが不要という意味ではありませんが、腹筋の強さと立ち姿勢の反りが単純に連動しているわけではないことが、実際に測った研究で報告されています。TRADでは、腹筋の量を増やすことよりも、腰を反らせずにお腹を働かせられるかどうかを先に見ています。
Q. 反り腰のトレーニングは毎日やってもいいですか?
ストレッチは毎日行っていただいて構いません。お腹やお尻を働かせるエクササイズについては、TRADでは週2〜3回を目安にご案内しています。回数を増やすことよりも、腰を反らせずに行えているかどうかを優先してください。
Q. どれくらいの期間で変化を感じられますか?
個人差がありますが、TRADではまず4〜8週間続けてから見直す区切りにしています。研究では、18〜30歳の女性を対象に8週間・週3回、20〜40歳の男性を対象に6週間・週2回といった期間で腰の反りの角度の変化が報告されていますが、いずれも40〜60代を対象にしたものではありません。
Q. 反り腰の人が避けたほうがよい運動はありますか?
特定の種目そのものを避ける必要はないと考えています。気をつけたいのは、腰を反らせたまま行ってしまうことです。上体起こしで腰が浮く、ヒップリフトでもも裏がつるといったサインが出たら、回数や動かす範囲を減らしてみてください。
Q. 腰に痛みがあるときもトレーニングをしていいですか?
痛みがあるときは無理に続けず、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。TRADが行うのは運動指導・コンディショニングで、診断や治療は行いません。痛みの原因が確認できたうえで、動ける範囲から一緒に組み立てていきます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・Ghaffari S, Hosseini SM, Gheitasi M.(2026)ランダム化比較試験/PLOS One(PubMed)
・Shalamzari MH, Henteh MA, Shamsoddini A, Ghanjal A.(2024)ランダム化比較試験/BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation(PubMed)
・Walker et al.(1987)横断研究/Physical Therapy(PubMed)
・Youdas et al.(1996)横断研究/Physical Therapy(PubMed)
・Ehresman et al.(2025)ランダム化比較試験/International Journal of Sports Physical Therapy(PubMed)
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(情報シート)
反り腰が気になる方へ|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
TRADは、姿勢・動作の評価から始める完全個室のマンツーマン指導です。何をどれだけやるかを決める前に、かたい場所と働いていない場所を一緒に確認します。月会費なしの買い切り型なので、通えない月があっても費用が無駄になりません。
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