関節がポキポキ鳴るのは問題?|痛みのない人でも36%に見られます|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD

膝や肩の関節が鳴る原因と受診の目安を解説する記事のサムネイル。東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD

しゃがむと膝がポキポキ鳴る。肩を回すとゴリゴリと音がする。痛くはないけれど、気になりますよね。先に結論をお伝えします。痛みのない関節の音は、研究で調べるとかなり一般的でした。膝の音は一般の人の41%に見られ、痛みのない人でも36%に見られたという報告があります。そして音そのものを消す運動の根拠は、今回調べた範囲では確認できませんでした。確かめたいのは音の有無ではなく、音に何が一緒についてきているかです。この記事では、東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、分かっていることと分かっていないことを分けてご説明します。

要点まとめ

・音にはガスの泡が関わると考えられていますが、泡が「できる」音か「つぶれる」音かは研究者の間でも見解が分かれています
・103研究・36,439人のまとめでは、膝の音は一般集団で41%、痛みのない人で36%、変形性膝関節症のある人で81%でした(ただし確実性は「非常に低い」と著者自身が評価)
・3,495人を4年追跡した研究では、音の頻度が高い人のほうが、のちに痛みを伴う変形性膝関節症になる割合が高い傾向でした。ただし発症例の75%超は、もともとX線で変化があった群から出ています
・すでに膝の変形性関節症がある人では、音の有無で3年後の手術の起こりやすさや、歩行などの客観的な動作能力に差はありませんでした
・指を鳴らす癖について、手の変形性関節症との関連は見られなかったという研究があります。いっぽうで腫れや握力低下との関連を報告した古い研究もあり、「完全に無害」とまでは言えません
・首を自分で鳴らす行為のリスクの頻度を調べた研究は確認できませんでした。勢いをつけて強くひねる癖は、安全側に考えて避けるほうが無難です
・⚠️ 音に加えて、痛み・水がたまる・ひっかかる・力が入らない・夜間の痛みがある場合は、受診をご検討ください

そもそも、なぜ音が鳴るのか

意外に思われるかもしれませんが、この仕組みは今も完全には決着していません。

2015年にPLoS ONE誌に載った研究では、指の関節10か所を引っ張りながらリアルタイムのMRI動画を撮影しました。すると関節が離れる瞬間に関節内に急速な空洞ができ、それと同時に音が起きたと報告されています。著者は「音は既存の気泡がつぶれる音ではなく、空洞ができることに関係する」と結論づけました。

ところが2018年にScientific Reports誌に載った数理モデルの研究は、逆の立場です。「気泡の(部分的な)崩壊」を仮定したモデルのほうが、実測の音の大きさや周波数と合うと報告しています。そして同じ2018年のレビューは、気泡が関わること自体には文献上の一致があるものの、どう形成されるのか、音の発生源はどこなのかは明らかでないとしています。

ですので、よく見かける「骨が離れて泡がはじける音です」という説明は、そこまで言い切れる段階ではありません。言えるのは「ガスの泡が関わっていると考えられている」というところまでです。

なお、この研究はすべて指の関節を調べたものです。膝・肩・首で同じ仕組みが起きているかは確認されていません。

膝の音は、どのくらい普通のことなのか

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい数字です。

2025年にBritish Journal of Sports Medicine誌に載ったシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、103の研究・36,439人(42,816膝)を集めて膝の音の割合を計算しています。結果は次のとおりです。

・一般集団:41%(95%信頼区間 36〜45%)
・痛みのない人:36%(95%信頼区間 23〜50%)
・変形性膝関節症のある人:81%(95%信頼区間 75〜87%)
・靱帯の損傷がある人:35%/軟骨に病変がある人:61%

つまり痛みのない方でも3人に1人以上は膝が鳴っているということになります。「自分だけかもしれない」と思われていた方には、まずここをお伝えしたいところです。

ただし正直に書きます。このレビューは著者自身がエビデンスの確実性を「非常に低い」と評価しています。研究間のばらつきが大きく、「音」の定義も研究ごとに違う可能性があります。ですので41%・36%という数字は目安としてお受け取りください。

痛みのない音は、将来どうなるのか

では、今は痛くない音をどう考えればよいのでしょうか。ここには4年間の追跡研究があります。

2018年にArthritis Care & Research誌に載った報告では、3,495人(平均61.1歳)のうち、最初の時点で症状のある変形性膝関節症がない膝を追跡しました。音の頻度を「ない/まれに/ときどき/よく/いつも」に分けて、のちに症状のある変形性膝関節症になる割合を比べると、調整後のオッズ比は順に 基準/1.5/1.8/2.2/3.0でした。音が頻繁な人のほうが高い、という傾向がはっきり出ています。

ここで止めると不安になりますので、同じ研究のもう1つの結果も合わせてご紹介します。発症した例の75%超は、「X線では変化があるけれど症状はない」という群から出ていました。この群は観察全体の26%にあたります。

つまり音は、すでに関節に変化がある人を見つけ出す目印として働いていた可能性があります。音が原因で関節が傷むという話ではありません。著者も予測因子として報告しており、原因の証明ではありません。

そしてすでに膝の変形性関節症がある人についても研究があります。2019年のコホート研究(4,566人)では、最初の時点の膝の音は、36か月後の人工膝関節置換術の発生を予測しませんでした。同じ研究グループの横断研究(音のある584人と、性別・BMI・重症度を合わせた584人の比較)では、自己申告の機能や痛みにわずかな差(3〜11%、効果量は小さい)があったものの、歩行テストや椅子からの立ち上がりといった客観的な動作能力には差がありませんでした。

整理すると、音は「気にしなくていい」とまでは言えませんが、「音があるから今すぐ何かが起きる」というものでもない、というのが今分かっている範囲です。

指を鳴らす癖は、関節に悪いのでしょうか

よくいただくご質問です。結論から言うと研究の結果は一致していません。

2011年の症例対照研究では、50〜89歳でX線検査を受けた215人を調べました。指を鳴らす習慣がある人は20%。いずれかの関節の変形性関節症があった割合は、鳴らす人18.1%、鳴らさない人21.5%で差がありませんでした(P=.548)。関節別に見ても、鳴らしてきた期間や累積の回数で分けても関連は見られず、著者は「習慣的に鳴らすことは手の変形性関節症の危険因子ではなさそうだ」と結論づけています。

いっぽう、1990年にAnnals of the Rheumatic Diseases誌に載った横断研究(45歳以上の連続300人)では、関節炎の頻度に差はなかったものの、鳴らす群のほうが手の腫れが多く、握力が低いと報告されています。ただしこの研究では肉体労働・爪かみ・喫煙・飲酒との関連も同時に示されており、そうした要因の影響を切り分けられていません。古い短報でもあります。

ですので「指を鳴らしても関節は変形しない」と言えるところまでは支持されていますが、「完全に無害」とまでは言えません。この点は正直にお伝えしておきます。なお、これらは手の研究ですので、膝や肩や首を鳴らすことにそのまま当てはめることはできません。

首を自分で鳴らす癖について

ここはいちばん慎重に書く必要があります。結論として、首を自分で鳴らす行為のリスクの頻度を調べた研究は確認できませんでした。

分かっているのは、医療者が首にひねりの手技を行う場合についてです。2014年にアメリカ心臓協会・アメリカ脳卒中協会が出した科学的声明では、首へのひねり手技と動脈の解離(血管の壁が裂けること)には疫学的な関連が示唆されているとしています。ただしそれが「もともとあった解離を見逃したため」なのか「手技による損傷のため」なのかは不明で、手技が解離を起こすという主張を確立するには生体力学的な証拠が不十分とも書かれています。そして発生率は十分に確立していないが、おそらく低いとしています。

2008年にSpine誌に載った研究(脳卒中818例の解析)では、45歳を超える人では、こうした施術を受けたことと脳卒中のあいだに追加の関連は見られませんでした。著者は「首や頭の痛みという解離の初期症状で受診した人が、その後に脳卒中を起こしているためと考えられる」と述べ、このタイプの脳卒中は人口全体では非常にまれだとしています。

いっぽうで、自分で首を鳴らした直後に重い解離が起きたという症例報告も1例あります(2024年)。1例の報告ですので、ここから頻度も因果も言えません。

以上をふまえると、こう言えます。「首を鳴らすと脳卒中になる」とは言えず、「首を鳴らしても絶対に安全」とも言えません。TRADとしては、勢いをつけて強くひねる動きや、繰り返し鳴らす癖は、安全側に考えて避けていただくようお伝えしています。これは研究で効果が実証された助言ではなく、分かっていないことに対する用心です。

首が気になって鳴らしたくなる方は、鳴らすより先に動かしやすさのほうを扱うほうが筋が通ります。首まわりについては首こりがひどい人に共通する3つの姿勢パターンをご覧ください。

音よりも、確かめたいこと

ここまで見てきたとおり、音だけでは判断できません。大事なのは、音に何が一緒についてきているかです。

日本整形外科学会の変形性膝関節症のページには、「主な症状は膝の痛みと水がたまることです」と書かれています。そして初期は立ち上がりや歩きはじめだけ痛み、休めば取れるが、正座や階段の昇降が困難となり、末期には安静時にも痛みが取れないと説明されています。なお、このページに音(ポキポキ・ゴリゴリ)の記載はありません。

半月板の損傷については、日本スポーツ整形外科学会の資料に「膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを自覚します。ひどい場合には膝に水がたまったり、膝を動かせなくなるロッキングを生じます」と書かれています。「ひっかかる」「動かせなくなる」は分かりやすい目印です。

肩については、日本整形外科学会の肩腱板断裂のページに「夜間痛で睡眠がとれないことが受診する一番の理由です」とあり、ほかの訴えとして「挙上するときに力が入らない」「肩の前上面でジョリジョリという軋轢音がする」が挙げられています。

🚨 ただしここは読み方を間違えないようにしてください。これは「腱板が切れている人に見られる訴え」であって、「肩がゴリゴリ鳴る人は腱板が切れている」という意味ではありません。学会のページでも、医師が診察で軋轢音を確認し、ほかの所見と合わせて判断すると書かれています。

まとめると、受診をご検討いただきたいのは次のような場合です。

・音に加えて痛みがある、または関節が腫れる・水がたまる
・ひっかかる感じがある、途中で動かなくなる
・力が入らない
・夜間や安静時に痛む
・正座や階段の昇り降りが以前より明らかに難しくなった

加えて、ひねったりぶつけたりしたあとに急に鳴り始めた場合、熱っぽさや赤みがある場合、不安定でぐらつく感じがある場合も確認していただくほうが安心です(この4点は学会の記載としては確認できませんでしたので、一般的な注意としてお受け取りください)。

運動でどうするか

ここも正直に書きます。音そのものを減らす・消す運動の根拠は、今回調べた範囲では確認できませんでした。「この運動をすれば鳴らなくなる」とは申し上げられません。

根拠があるのは別のところです。2024年のコクランレビュー(139試験・12,468人、膝の変形性関節症がある人が対象)では、運動によって痛みが平均8.70点(0〜100点の尺度)、身体機能が11.27点改善したと報告されています。無治療や通常のケアと比べた場合は、痛み13.14点・身体機能12.53点の改善です。確実性は痛みで低、身体機能で中等度と評価されています。

⚠️ 注意点が2つあります。1つは、この研究の対象が「音のある人」ではなく「膝の変形性関節症がある人」だということです。音が減るかどうかは評価されていません。もう1つは、無治療と比べた場合に有害事象が増える可能性が示されている(低い確実性)ことです。「運動は必ず安全」とは書けません。

日本整形外科学会のページにも、予防と日常生活の注意点として太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることが挙げられています。

ですので現実的な考え方はこうなります。痛みのない音を目標にして運動するのではなく、痛みや動かしやすさを目標にする。音は結果として変わることもありますが、そこを狙うものではないということです。

TRADでは音をどう扱っているか

セッション中に「あ、鳴りました」ということは珍しくありません。そのときに確認しているのは3点です。

痛みが一緒に出ているか。音だけなら続けます。痛みがあればその種目は止めます。

決まった角度で毎回鳴るのか、たまたまか。同じ角度で毎回ひっかかるように鳴る場合は、動きの通り道に何か起きている可能性がありますので、可動域を狭めたり別の種目に替えたりします。

以前からあるのか、最近始まったのか。長年同じように鳴っているものと、ここ数週間で始まったものは分けて考えます。

そのうえで申し添えておきます。TRADが行うのは運動指導・コンディショニングです。音の原因を特定したり、症状を治したりすることはできません。上に挙げた受診の目安に当てはまる場合は、医療機関をおすすめしています。

東海市・大府市・知多市から通われている方の場合

「膝が鳴るので、運動していいのか分からなくて止めていました」という方がいらっしゃいます。これは少し残念なことです。痛みがないのであれば、音を理由に体を動かすのをやめる必要はありません。

いっぽうで、鳴るのが気になって動きを小さくしてしまう方もいます。その結果、使う範囲が狭くなり、動かしにくさが増えることもあります。階段を降りるのが怖いのはなぜ?でもご紹介したように、不安そのものが動きを変えてしまうことは研究でも報告されています。

膝であれば、どの角度で鳴るのか、痛みを伴うのか、左右で違うのかを見れば、進め方は決められます。階段を上ると膝が痛い原因や膝の痛みは膝以外が原因のことが多い理由も参考になるかもしれません。

参考にした主な研究・ガイドライン

・Kawchuk et al.(2015)実験研究(リアルタイムMRI)/PLoS ONE(PMID: 25875374)
・Chandran Suja et al.(2018)数理モデル研究/Scientific Reports(PMID: 29599511)
・Rizvi et al.(2018)レビュー/Clinical Anatomy(PMID: 30080300)
・Couch et al.(2025)システマティックレビュー・メタアナリシス/British Journal of Sports Medicine(PMID: 39375004)
・Lo et al.(2018)コホート研究/Arthritis Care & Research(PMID: 28470832)
・Pazzinatto et al.(2019)コホート研究/Brazilian Journal of Physical Therapy(PMID: 30292656)
・Pazzinatto et al.(2019)横断研究/Brazilian Journal of Physical Therapy(PMID: 30471964)
・DeWeber et al.(2011)症例対照研究/Journal of the American Board of Family Medicine(PMID: 21383216)
・Castellanos & Axelrod(1990)横断研究/Annals of the Rheumatic Diseases(PMID: 2344210)
・Biller et al.(2014)AHA/ASA科学的声明/Stroke(PMID: 25104849)
・Cassidy et al.(2008)症例対照・ケースクロスオーバー研究/Spine(PMID: 18204390)
・Persons & Stauffer(2024)症例報告/American Journal of Forensic Medicine and Pathology(PMID: 38497612)
・Lawford et al.(2024)システマティックレビュー・メタアナリシス(コクラン)/Cochrane Database of Systematic Reviews(PMID: 39625083)
・日本整形外科学会「症状・病気をしらべる 変形性膝関節症」(日本整形外科学会)
・日本整形外科学会「症状・病気をしらべる 肩腱板断裂」(日本整形外科学会)
・日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ33. 半月板損傷」

よくある質問

Q. 膝がポキポキ鳴るのは放っておいて大丈夫でしょうか。

痛みやほかの症状がなければ、音だけを理由に心配しすぎる必要はありません。103研究・36,439人を集めたまとめでは、膝の音は一般集団で41%、痛みのない人でも36%に見られました。いっぽうで、音に加えて痛みがある、水がたまる、ひっかかる、力が入らない、夜間や安静時に痛む、正座や階段が以前より明らかに難しくなった——こうした場合は受診をご検討ください。日本整形外科学会のページでは、変形性膝関節症の主な症状は膝の痛みと水がたまることだと説明されています。

Q. 音が鳴るのは関節がすり減っているからですか。

そう決めつけることはできません。たしかに変形性膝関節症のある人では音がある割合が81%と高く、痛みのない人の36%より多いという報告があります。ただし3,495人を4年追跡した研究では、のちに症状のある変形性膝関節症を発症した例の75%超が、もともとX線で変化があった群から出ていました。つまり音は、すでに変化がある人を見つけ出す目印として働いていた可能性があり、音が原因で関節が傷むという話ではありません。音だけで判断せず、痛みやひっかかりが一緒にあるかで考えてください。

Q. 指を鳴らす癖は関節に悪いのでしょうか。

研究の結果は一致していません。50〜89歳の215人を調べた2011年の症例対照研究では、いずれかの関節の変形性関節症があった割合は、指を鳴らす人18.1%、鳴らさない人21.5%で差がなく、著者は危険因子ではなさそうだと結論づけています。いっぽう1990年の横断研究では、鳴らす群で手の腫れが多く握力が低いと報告されましたが、肉体労働や喫煙などの影響を切り分けられていません。ですので「関節が変形する」とは言えませんが、「完全に無害」とまでも言えない、というのが正直なところです。

Q. 自分で首を鳴らすのは危険ですか。

自分で首を鳴らす行為のリスクの頻度を調べた研究は確認できませんでした。分かっているのは医療者が首にひねり手技を行う場合で、2014年のアメリカ心臓協会・脳卒中協会の声明は、手技と動脈の解離に統計的な関連が示唆されるとしつつ、因果は確立しておらず発生率はおそらく低いとしています。2008年の研究では45歳を超える人で追加の関連は見られず、このタイプの脳卒中は人口全体では非常にまれだとされています。いっぽうで自分で鳴らした直後の症例報告も1例あります。TRADとしては、勢いをつけて強くひねる動きや繰り返す癖は、用心して避けていただくようお伝えしています。

Q. 音を減らす運動はありますか。

音そのものを減らす・消す運動の根拠は、今回調べた範囲では確認できませんでした。根拠があるのは別のところで、膝の変形性関節症がある人を対象にした139試験・12,468人のコクランレビューでは、運動によって痛みと身体機能が改善したと報告されています(確実性は低〜中等度)。ただしこの研究の対象は「音のある人」ではありません。ですので痛みのない音を目標にするのではなく、痛みや動かしやすさを目標に運動するほうが筋が通ります。音は結果として変わることもありますが、そこを狙うものではないとお考えください。

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