膝が痛いときの太ももの筋トレ|変形性膝関節症のガイドラインと、痛みを見ながらの始め方|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD

膝が痛いときの太ももの筋トレと変形性膝関節症の運動の始め方を解説する記事のサムネイル。東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD

「膝が痛いなら、太ももを鍛えなさいと言われた。でも、痛いのに動かして大丈夫なのか」。膝の痛みで来られる方から、よくうかがうお話です。先に結論をお伝えします。状態が落ち着いている変形性膝関節症の方については、日本整形外科学会の診療ガイドラインも海外のガイドラインも、運動療法を強く推奨しています。厚生労働省の資料でも、無理のない強さから始めて、筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています。ただし、「太ももを鍛えるのがいちばん効く」とまでは言えず、運動の効果も「あるが大きくはない」というのが最新の研究のまとめです。この記事では、東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、研究で分かっていることと、痛みを見ながらの始め方をご説明します。

要点まとめ

・動かせない・体重をかけられない・ひどく腫れている・膝が引っかかって動かない・赤く熱を持っているときは、運動より先に医療機関へ
・日本整形外科学会の「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」は、運動療法を推奨の強さ「1:強い」としています(エビデンスの強さは「C:確信は限定的」)
・139件の試験をまとめた最新のコクランレビューでは、運動で痛みが100点満点で平均13点、身体機能が平均13点ほど改善。ただしその大きさに臨床的な意味があるかは「不確か」とされています
・運動の種類による効果の差は見つかっていません。「太ももの筋トレが一番」とは言えません
・厚労省の資料は、状態が落ち着いている方に筋トレを週2〜3日、無理のない強さから徐々にとしています
・「痛みが何点までなら続けてよい」という基準は確認できませんでした。翌日まで痛みや腫れが残るなら量を減らします

まず確かめたいこと|運動より先に受診したほうがよいサイン

膝の痛みの中には、運動の前に医療機関で確かめたほうがよいものがあります。英国の公的医療機関(NHS)は、次のような場合はすぐに医療機関に相談するよう案内しています。

・膝がとても痛い
・膝を動かせない、体重をかけられない
・ひどく腫れている、形が変わっている
・膝が引っかかって動かなくなる、力が抜けてガクッとなる、痛みを伴ってカクッと鳴る(痛みのない音はよくあることです)
・高い熱があり、膝のまわりが赤く熱を持っている

また、数週間たっても痛みがよくならないときも受診がすすめられています。これは英国の基準ですが、判断の参考になると思います。階段や受診の目安については階段を降りるのが怖いのはなぜ?でも詳しくご紹介しています。

TRADは運動指導とコンディショニングを行うジムで、膝の診断や治療はできません。この記事は、医療機関で変形性膝関節症などと言われ、運動をすすめられた方や、痛みが落ち着いていて運動を始めたい方に向けた内容です。

ガイドラインでは、運動はどう扱われているのか

日本整形外科学会が監修した「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、「運動療法は、鎮痛、身体機能改善効果、日常生活機能改善効果を認め有用である」とされ、推奨の強さは「1:強い(実施することを推奨する)」です。いっぽうでエビデンスの強さは「C:効果の推定値に対する確信は限定的」とされ、効果的な運動の種類や長期的な効果は「不明」と明記されています。

海外でも同じ方向です。国際変形性関節症学会(OARSI)の2019年のガイドラインは、計画的な運動プログラムを、膝の変形性関節症の中心となる対応のひとつとしています(Bannuru et al., 2019)。米国リウマチ学会などの2020年のガイドラインも、運動を「強い推奨」に位置づけています(Kolasinski et al., 2020)。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでは、状態が落ち着いている変形性膝関節症の方について、無理のない強さ・頻度で始めて徐々に増やすこと、筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています。あわせて、痛みや変形がある場合は事前に医師などに相談することとされています。

運動でどれくらい変わるのか|最新の研究のまとめ

2024年に更新されたコクランレビュー(Lawford et al., 2024)は、139件の試験・1万2,468人をまとめたものです。運動をした方は、何もしない・通常のケアだけの方に比べて、痛みが100点満点で平均13点ほど、身体機能が平均13点ほど改善していました。

ただし、著者たちはこの改善の大きさが、日常生活で実感できるほど意味のあるものかは「不確か」と結論づけています。また、運動の種類による効果の差は見つからなかったとしています。さらに、運動をした方のほうが痛みが一時的に増えるなどの好ましくない出来事が増える可能性も示されています。

ここから言えるのは、「運動は膝の痛みと動きにある程度よい方向の変化をもたらしうるが、魔法のような効果ではない」ということです。TRADでも「膝がよくなります」とお約束することはできません。そのうえで、ガイドラインが強くすすめ、厚労省も週2〜3日の筋トレをすすめていることは、運動を始める十分な理由になると考えています。

太ももの筋トレがいちばんよいのか

「膝には太もも(大腿四頭筋)」とよく言われます。2014年に48件の試験を比べた研究(Juhl et al., 2014)では、大腿四頭筋に絞ったプログラムのほうが、脚全体のプログラムより痛みの軽減が大きい傾向が見られました。

ただし、これは試験どうしを比べた分析で、因果関係を確かめたものではありません。そして前述のとおり、2024年のコクランレビューは運動の種類による差を見つけておらず、日本のガイドラインも効果的な運動の種類は不明としています。つまり、研究によって結論が割れているのが現状です。

お尻や股関節の筋トレについても調べられています。8件の試験をまとめた研究(Hislop et al., 2020)では、太ももの筋トレに股関節の運動を足すと、歩く機能には上乗せが見られましたが、痛みには差がありませんでした。

こうした結果から、TRADでは「太ももだけ」にこだわらず、太もも・お尻・股関節を、痛みの出にくいものから組み合わせる考え方をとっています。膝の痛みと膝以外の関係は膝の痛みは膝以外が原因のことが多い理由でもご説明しています。

痛みはどこまで許されるのか

いちばん迷うのがここだと思います。正直にお伝えすると、「運動中の痛みが10点中何点までなら続けてよい」という基準は、今回確認した変形性膝関節症の研究やガイドラインの中では見つけられませんでした。

参考になる研究はあります。慢性の筋肉や関節の痛み全般を対象に、ある程度の痛みを許容した運動と、痛みが出ない範囲の運動を比べた研究のまとめ(Smith et al., 2017)では、中長期の痛みや機能に明らかな差はありませんでした。ただしこれは膝だけの結論ではなく、「痛くても続けるべき」という意味でもありません。

また、膝や股関節の痛みのある方が8週間の運動を行った研究(Sandal et al., 2016)では、運動の直後に痛みが少し増えることがあっても、その増え方は回を重ねるごとに小さくなり、痛みの平均は10点中3.6から2.6に下がっていました。ただし比べる対照グループのない研究なので、運動のおかげとは言い切れません。

こうしたことから、TRADでは次のような目安で量を調整しています。これは研究で決まった基準ではなく、現場での考え方です。

・運動中に少し痛みを感じても、終わったら落ち着くなら、そのまま続けます
・翌日まで痛みが残る、腫れや熱っぽさが出るなら、回数や深さを減らします
・回を重ねるごとに痛みが増えていくなら、種目を替えるか、医療機関に相談していただきます

痛みの出にくい順に始める太もも・お尻の運動

種目による効果の差は確認されていないので、ここでは膝への負担が少なく、自宅で始めやすい順にご紹介します。いずれも痛みが出ない、または少し感じても終われば落ち着く範囲で行ってください。

1. 膝の下にタオルを置いて押しつぶす(座って・寝て)
脚を伸ばして座り、膝の下に丸めたタオルを置きます。膝の裏でタオルを床に押しつけるように、太ももの前に5秒力を入れてゆるめます。10回を1〜2セット。膝をほとんど曲げ伸ばししないので、痛みが出にくい運動です。

2. 椅子に座って膝を伸ばす
椅子に深く座り、片脚の膝をゆっくり伸ばして2〜3秒止め、ゆっくり下ろします。左右10回ずつを1〜2セット。慣れたら足首に軽い重りをつける方法もあります。

3. 横向きでお尻の横を使う(クラムシェル)
横向きに寝て膝を曲げ、かかとをつけたまま上の膝を開きます。お尻の横の筋肉を使う運動です。やり方はクラムシェルのやり方をご覧ください。

4. 椅子からの立ち上がり
椅子に浅く座り、膝とつま先を同じ方向に向けて、少し前かがみになってから立ち上がります。座るときは2〜3秒かけてゆっくり。5〜10回から。痛みが出る方は、座面にクッションを重ねて椅子を高くすると膝の曲がりが浅くなります。

頻度は、厚労省の資料にならって週2〜3日を目安にしてください。慣れてきたら、スクワットやスプリットスクワットなど、立って行う運動に進んでいきます。太ももの前が張りやすい方は太ももの前が張る原因もあわせてご覧ください。

東海市・太田川で膝の痛みと付き合いながら運動したい方へ

TRADには、膝の痛みをきっかけに「このまま動けなくなるのは困る」と考えて来られる40〜60代の方が多くいらっしゃいます。

膝の運動で大切なのは、どの種目をやるかより、その方にとって痛みの出にくい形と量を見つけることだと考えています。TRADでは、まず姿勢と動作の評価で、立ち上がり・しゃがむ・片脚で立つといった動きのどこで膝に負担が集まるかを確かめてから、運動を選びます。毎回、前回のあとの膝の様子をうかがって量を調整します。

繰り返しになりますが、TRADは診断や治療は行いません。医療機関で運動の制限を受けている方は、その指示を優先してください。

参考にした主な研究・ガイドライン

・日本整形外科学会 監修「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート「慢性疾患を有する人の身体活動のポイント」
・NHS(英国国民保健サービス)「Knee pain」
・Bannuru et al.(2019)ガイドライン(OARSI)/Osteoarthritis and Cartilage(PMID: 31278997)
・Kolasinski et al.(2020)ガイドライン(ACR/AF)/Arthritis Care & Research(PMID: 31908149)
・Lawford et al.(2024)システマティックレビュー/Cochrane Database of Systematic Reviews(PMID: 39625083)
・Juhl et al.(2014)システマティックレビュー・メタ回帰分析/Arthritis & Rheumatology(PMID: 24574223)
・Hislop et al.(2020)システマティックレビュー・メタ解析/British Journal of Sports Medicine(PMID: 30728126)
・Smith et al.(2017)システマティックレビュー・メタ解析/British Journal of Sports Medicine(PMID: 28596288)
・Sandal et al.(2016)観察研究/Osteoarthritis and Cartilage(PMID: 26564575)

よくある質問

Q. 膝が痛いときに、太ももの筋トレをしてもよいですか。

状態が落ち着いている変形性膝関節症の方については、日本整形外科学会の診療ガイドライン2023が運動療法を推奨の強さ「強い」とし、海外のガイドラインや厚生労働省の資料も運動をすすめています。ただし、膝を動かせない・体重をかけられない・ひどく腫れている・引っかかって動かない・赤く熱を持っているといった場合は、運動より先に医療機関を受診してください。

Q. どのくらいの頻度で行えばよいですか。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の情報シートでは、状態が落ち着いている変形性膝関節症の方に、無理のない強さ・頻度で始めて徐々に増やすこと、筋力トレーニングを週2〜3日行うことがすすめられています。週3回が最適といった確かな根拠は確認できなかったため、まずは週2〜3日を目安にしてください。

Q. 運動中、どこまで痛くても続けてよいですか。

痛みが何点までなら続けてよいという基準は、変形性膝関節症の研究やガイドラインでは確認できませんでした。TRADでは、運動中に少し痛みを感じても終われば落ち着くなら続け、翌日まで痛みが残る・腫れや熱っぽさが出るなら量を減らし、回を重ねるごとに痛みが増えるなら種目を替えるか医療機関に相談していただく、という目安で調整しています。

Q. 太ももを鍛えれば、膝の痛みは軽くなりますか。

139件の試験をまとめた2024年のコクランレビューでは、運動で痛みと身体機能が平均13点ほど(100点満点)改善しましたが、その大きさに臨床的な意味があるかは不確かとされています。また運動の種類による差は見つかっておらず、太ももの筋トレがいちばん効くとは言えません。痛みが軽くなることをお約束することはできませんが、運動を続ける価値はあると考えています。

Q. お尻や股関節の筋トレも必要ですか。

8件の試験をまとめた研究では、太ももの筋トレに股関節の運動を足すと歩く機能には上乗せが見られましたが、痛みには差がありませんでした。必須とまでは言えませんが、TRADでは太ももだけにこだわらず、太もも・お尻・股関節の運動を、その方にとって痛みの出にくいものから組み合わせるようにしています。

姿勢評価つきの体験を受付中|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD

膝に痛みの出にくい運動の形と量は、人によって違います。TRADは姿勢・動作の評価から始めて、立ち上がりやしゃがむ動きのどこで膝に負担が集まるかを確かめ、無理のない始め方を一緒に決めます。太田川駅東口から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験トレーニングは90分・2,750円(税込)で、ご予約確定後の確認メールから事前にお支払いいただけます。

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