「運動を始める前に、一度病院で見てもらったほうがいいでしょうか」。体験にお越しになる方から、よくいただくご質問です。先に結論をお伝えします。多くの方は、受診せずに始めていただいて差し支えありません。厚生労働省のガイドにも、アメリカスポーツ医学会の提言にも、そう読める記述があります。ただし8つの確認項目のどれかに当てはまる場合は、先に確認していただくほうが安全です。この記事では、東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、公的な資料に書かれている内容を噛み砕いてご説明します。
要点まとめ
・厚生労働省のガイドには、新しく運動を始めるときに確認する8つの項目のチェックシートが掲載されています(PAR-Q+を参考に作成されたもの)
・8問すべてが「いいえ」なら、次の段階に進んでよいという作りになっています
・アメリカスポーツ医学会は2015年に、受診を勧めすぎること自体が運動を始める妨げになっていると指摘し、仕組みを見直しました
・同じ提言では、運動に伴う心臓の事故は、前ぶれとなる症状があることが多いとも述べられています。だからこそ症状の確認が中心になります
・有害事象が起こりやすいのは「強度の高い運動」と「普段動いていない人が急に普段以上の運動をしたとき」です。低〜中強度の運動はリスクが低いとガイドに示されています
・血圧が高い方には具体的な目安があります。ガイドでは、診察室血圧180/110mmHg以上・家庭血圧160/100mmHg以上の場合、服薬で整えてから運動を始めるよう受診を勧める、と書かれています
・⚠️ この記事は運動指導の立場からのご案内です。TRADは診断を行いません。判断が必要な場合は医療機関にご相談ください
まず、受診を勧めすぎることの問題
意外に思われるかもしれませんが、専門家の間で問題にされてきたのは「確認が足りない」ことだけではありません。「念のため受診を」と勧めすぎることで、運動を始めるハードルが上がってしまうことも問題とされています。
2015年にアメリカスポーツ医学会が出した提言では、それまでの手順を使うと医師への紹介が過剰になり、運動に参加する妨げを作りかねないと述べられています。そして、運動はほとんどの人にとって安全であり、健康や体力の面で多くの利点があるという相当な根拠があるとも書かれています。
そこで新しい仕組みでは、確認する内容を次の3点に絞りました。
1つ目はその方が今どのくらい体を動かしているか、2つ目は症状があるか、または心臓・代謝・腎臓の病気が分かっているか、3つ目はこれからやりたい運動の強さです。いっぽうで、危険因子の洗い出し(コレステロールや喫煙歴などを点数化すること)は、運動前の確認の手順からは外されました。病気の予防そのものには大事な作業ですが、運動を始めてよいかの判断には使わない、という整理です。
もう1つ重要な記述があります。同じ提言では、運動に関連して起こる心臓の事故には、前ぶれとなる症状や兆候が先立つことが多いと述べられています。つまり「今、症状があるかどうか」を確かめることが、確認の中心になります。
厚生労働省のガイドにある8つの確認項目
日本では、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に、運動開始前の健康チェックシートが掲載されています。国際的に使われているPAR-Q+という質問票を参考に作られたものです。内容を分かりやすく書き直すと、次の8点です。
1. 医師から「心臓病」または「高血圧」と指摘されたことがありますか。
2. そのほかに慢性の病気はありますか(過去にかかったものも含みます)。
3. これまでに手術を受けたことがありますか。
4. 慢性の病気などでお薬を飲んでいますか。
5. 安静時・日常生活中・運動中などに「胸の痛み」を感じることがありますか。
6. めまいでバランスを崩すことがありますか。また、この1年間に意識を失ったことがありますか。
7. 運動をすると悪化しそうな骨・関節・筋肉・靱帯・腱の問題がありますか(1年以内のものも含みます)。
8. 医師から「医学的な管理のもとで運動するように」と言われたことがありますか。
このシートは、すべてが「いいえ」なら次の段階に進んでよいという作りになっています。
そして「はい」がついた場合も、いきなり「運動禁止」ではありません。1〜4については「運動の制限がありますか」と重ねて尋ね、制限があればその範囲で行う、分からない場合は受診するという流れになっています。5の「胸の痛み」については、医療機関を受診してくださいと明記されています。
当てはまったら先に確かめていただきたい症状
同じガイドには、安静時または活動中の兆候と症状のリストも載っています。こちらは当てはまるものがあれば、運動より先に確認していただきたい内容です。日常の言葉に置き換えてご紹介します。
・胸、首、頭、腕などに血のめぐりが足りないことによると思われる痛みや不快感がある
・めまいがする、気を失うことがある
・横になると息が苦しくて起き上がってしまう、または夜中に息苦しさで目が覚める
・くるぶしのあたりが腫れる(むくむ)
・動悸がする、脈が速くなる
・少し歩くと脚が痛くなり、休むとまた歩けるようになる
・心臓の雑音を指摘されたことがある
・普段どおりの生活をしているだけで、いつもと違う強い疲れや息切れがある
このうち心臓の雑音は、ご自身では分かりません。健診や受診のときに指摘されたことがあるかが目安になります。
いっぽうで、脚のむくみ・息切れ・疲れやすさは、運動不足や睡眠不足でも起こります。これらがあるからといって病気とは限りません。大事なのは「以前と比べて変わったか」「いつもの生活なのに出るか」という点です。
血圧・糖尿病・整形外科の問題がある場合
ガイドには、よくある3つの場合について、より具体的な記述があります。
血圧が高い場合。運動すると血圧は上がりますので、もともと高い場合は注意が必要だとされています。そのうえでIII度高血圧(診察室で測った血圧が180/110mmHg以上、家庭で測った血圧が160/100mmHg以上)の場合は、服薬で血圧を整えてから運動を始める必要があるため、医療機関の受診を勧めてくださいと書かれています。この数字は診断の基準ではなく、運動を始める前に受診をおすすめする目安としてガイドに示されているものです。
糖尿病がある場合。ガイドでは、糖尿病では心臓の血管に問題があっても典型的な胸の痛みが出ないことがあるため、丁寧な確認が必要だとされています。合併症や血糖の状況が分からない場合は、かかりつけの医師に確認してから運動を開始してくださいと書かれています。お薬によっては運動中に低血糖が起こる可能性も挙げられています。
運動で悪化する腰痛・膝痛・関節の変形などがある場合。ガイドは4つの工夫を挙げています。あらかじめ医師に相談してから始める/低強度・短い時間から始める/その部位に負荷がかからない運動を選ぶ/筋力トレーニングやバランス運動を加える。TRADがやっていることは、まさにこの3番目と4番目にあたります。
なお、脂質の薬(スタチン系)については筋力低下や筋肉痛を起こすことがあり注意が必要との記述もあります。お薬を飲んでいる方は、運動を始めるときにその点をお伝えいただけると助かります。お薬を飲むかどうか、やめるかどうかの判断は医師の領域ですので、TRADからは申し上げません。
リスクが高くなるのはどういう場面か
ガイドには、運動に関連した有害事象が起こりやすい場面も整理されています。これはとても実用的です。
リスクが高いのは、強度の高い運動を行ったときと、運動に不慣れな人(普段の身体活動量が少ない人・強度が低い人)が急に普段以上の運動を行ったときです。
リスクが低いのは、低〜中強度の運動を行ったときです。
つまり危ないのは「運動すること」ではなく、「急に、強く、不慣れなまま」やることだと読めます。これは運動の強さの決め方そのものの話ですので、運動の強さの目安も合わせてご覧ください。
「病気があるとジムに入れない」と思わないでください
このガイドの該当部分は、運動を勧めたり指導したりする立場の人に向けて書かれています。つまりTRADのようなジム側が読むべき内容です。そこに2つ、印象的な記述があります。
1つは、指導する側は、自己申告の「病気がない」を鵜呑みにしてはいけないというものです。健診を受けていなければ、病気があることを知らないだけかもしれません。ですので健診結果を持参してもらったり、治療中の病気を共有してもらったうえで、その方に合った運動を勧める必要がある——という趣旨です。
もう1つは、こうした安全対策をきちんと行いながら、「病気があると運動施設の会員になれない」というイメージを払拭していくことが肝要だという記述です。
この2つは、一見すると逆のことを言っているようですが、どちらも同じ方向を向いています。ちゃんと把握するからこそ、お断りせずに受け入れられるということです。TRADも同じ考え方で運営しています。
TRADでは体験のときに何を確認しているか
TRADの体験トレーニングは90分で、最初にカウンセリングの時間を取っています。そこでうかがっているのは、ここまでご紹介した内容とほぼ同じです。
治療中の病気とお薬、過去の手術やケガ、痛みの出る動作、めまいや息切れの有無、そして普段どのくらい体を動かしているか。健診の結果をお持ちいただける場合は、見せていただくこともあります。
そのうえで、運動の内容そのものを変えます。強度を下げる、可動域を狭める、その部位に負荷がかからない種目を選ぶ、といった調整です。お断りすることを前提にうかがっているわけではありません。
いっぽうで、医師の判断が必要だと考えられる場合は、正直にそうお伝えします。TRADが行うのは運動指導・コンディショニングですので、痛みや症状の原因を特定したり、診断したり、症状を治したりすることはできません。ここは線を引いています。
体の状態をどう確認していくかについては、姿勢評価とは?TRADが行う7つのチェック項目と、姿勢評価つき体験の内容と料金でご説明しています。足腰の衰えが気になる方は、ロコモ度テストのやり方もご自宅で確認いただけます。
東海市・大府市・知多市で迷っている方へ
「持病があるからジムは無理だろう」と思って踏み出せていない方が、実際にいらっしゃいます。ですが、ここまで見てきたとおり、公的なガイドが求めているのは「運動をあきらめること」ではなく「状態を把握してから内容を決めること」です。
ご自身の状態をお伝えいただければ、できる範囲から組み立てます。判断に迷う内容であれば、先にかかりつけの先生に確認してきてくださいとお伝えします。それも含めてご相談いただければと思います。
参考にした主な研究・ガイドライン
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月)
・Riebe et al.(2015)専門家会議による提言/Medicine & Science in Sports & Exercise(PMID: 26473759)
よくある質問
Q. 運動を始める前に、健康診断や受診は必須ですか。
必須ではありません。厚生労働省のガイドに載っている8項目のチェックシートは、すべてが「いいえ」なら次の段階に進んでよいという作りになっています。アメリカスポーツ医学会の2015年の提言でも、受診を勧めすぎることが運動を始める妨げになりかねないと指摘され、運動はほとんどの人にとって安全だという根拠があると述べられています。いっぽうで、胸の痛みがある場合は受診してくださいと明記されていますので、症状がある場合は別と考えてください。
Q. 高血圧の薬を飲んでいますが、運動してもいいですか。
お薬を飲んで血圧が整っている状態であれば、運動そのものが禁じられているわけではありません。ただし運動の制限が出ているかどうかはお薬や状態によって違いますので、分からない場合は主治医に確認していただくのが確実です。厚生労働省のガイドでは、診察室血圧180/110mmHg以上・家庭血圧160/100mmHg以上の場合は、服薬で整えてから運動を始める必要があるとして受診を勧めると書かれています。なお一部の高血圧の薬は心拍数に影響するため、心拍数を運動強度の目安として使えないことがあります。その場合は「ややきつい」といった感覚を目安にします。
Q. 腰や膝に痛みがありますが、ジムに行っても大丈夫でしょうか。
痛みの出方によります。厚生労働省のガイドは、運動で悪化する整形外科的な問題がある場合として4つの工夫を挙げています。あらかじめ医師に相談してから始めること、低強度・短い時間から始めること、その部位に負荷がかからない運動を選ぶこと、筋力トレーニングやバランス運動を加えることです。TRADでも、痛みの出る動作を確認してから種目と負荷を決めます。ただし強い痛みが続いている場合や、原因が分かっていない場合は、先に医療機関にご相談ください。TRADは診断を行いません。
Q. めまいや息切れがあるのですが、運動不足のせいでしょうか。
運動不足や睡眠不足でも起こりますので、それだけで病気とは言えません。目安になるのは「以前と比べて変わったか」と「いつもどおりの生活をしているだけで出るか」という点です。厚生労働省のガイドの症状リストには、めまいや失神、普段の活動なのにいつもと違う強い疲れや息切れ、という項目が挙げられています。当てはまる場合は、運動を始める前に一度医療機関で確認していただくほうが安心です。ご自身で判断がつかないときは、体験のときにお話しいただければ一緒に整理します。
Q. 持病があることを伝えると、入会を断られませんか。
お断りするためにうかがっているわけではありません。厚生労働省のガイドには、安全対策を適切に行いながら「病気があると運動施設の会員になれない」というイメージを払拭していくことが肝要だ、という記述があります。TRADも同じ考え方です。お伝えいただいた内容をもとに、強度を下げる、可動域を狭める、その部位に負荷がかからない種目を選ぶといった調整を行います。ただし医師の判断が必要だと考えられる場合は、先にかかりつけの先生に確認していただくようお願いすることがあります。
姿勢評価つきの体験を受付中|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
持病や痛みがあるから無理だろう、と思って迷われている方へ。TRADは、最初のカウンセリングで状態をうかがい、姿勢・動作を評価してから内容を決める完全個室のパーソナルジムです。できる範囲から組み立てますので、まずはご相談ください。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験トレーニングは90分・2,750円(税込)です。
その場でのご契約はお願いしていません。内容を見たうえで、じっくりご検討ください。ご予約は公式LINE、または予約サイト(空き状況を見る)から承っています。

