朝晩が涼しくなり、日中との差が大きくなってきました。この時期、「季節の変わり目に体調を崩しやすい」というお声をお客様からよくうかがいます。では、運動している人は風邪をひきにくいのでしょうか。研究をまとめると、答えは「ひく回数は変わらないが、ひいたときの症状は軽く、長引きにくい可能性がある」です。14件の試験を集めたコクランレビューが、そういう結果を出しています。東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、期待できることとできないことを分けてご説明します。
要点まとめ
・14件の試験(成人1,377名)を集めた分析では、運動しても風邪をひく回数は変わりませんでした(リスク比1.00)
・少なくとも1回はひいた人の割合も変わりませんでした(リスク比0.88、信頼区間0.72〜1.08)
・いっぽう症状の重さは軽くなり(2件)、期間中に症状が出ていた日数は2.24日短くなりました(4件)
・成人1,002名を12週間追跡した研究では、週5日以上運動する人は、ほとんど動かない人より症状のあった日数が43%少ない結果でした
・55万人以上を含む分析では、身体活動が多い人は市中感染症のリスクが31%低いという関連が報告されています
・ただし関連であって、運動したから防げたと証明したものではありません
・使われた運動は中強度の有酸素運動を週3回以上、30〜45分が中心でした
「運動していれば風邪をひかない」わけではありません
まず、いちばん誤解されやすいところからお伝えします。
急性の呼吸器感染症(風邪など、30日以内におさまるもの)について、運動する群と運動しない群を比べた14件の試験・成人1,377名を集めたコクランレビューがあります(Grande et al. 2020)。1990年から2018年に発表された試験で、対象は18〜85歳、女性の割合は52〜100%、追跡期間は1〜36週(中央値12週)でした。
・1人あたり年間の発症回数…リスク比1.00(95%信頼区間0.77〜1.30/4件・514名)=差はありませんでした
・期間中に1回以上かかった人の割合…リスク比0.88(0.72〜1.08/5件・520名)=差はありませんでした
・1回あたりの症状の日数…平均差 −0.44日(−2.33〜1.46/6件・557名)=差はありませんでした
つまり、運動していても、風邪をひく回数は減りませんでした。ここは正直にお伝えしなければならないところです。
変わったのは「重さ」と「日数」でした
同じレビューで、差が出た項目もあります。
・症状の重さ…ウィスコンシン上気道症状調査という尺度で、平均差 −103.57(−198.28〜−8.87/2件・373名)。中等度の確実性で運動群のほうが軽い結果でした
・追跡期間中に症状が出ていた日数…平均差 −2.24日(−3.50〜−0.98/4件・483名)。運動群のほうが少ない結果でした
・血液中のリンパ球、唾液中の免疫グロブリン、好中球といった検査の数値には有意な影響がありませんでした
・生活の質、費用対効果、運動によるけがにも差はありませんでした
この結果には、押さえておきたい弱点があります。原典は「全体としてエビデンスの確実性は低く、研究のデザインや実施の限界、精度の低さ、結果のばらつきによって評価を下げた」と明記しています。日数の差も4件だけの結果です。期待しすぎないでいただきたいのですが、方向としては「軽く、短く」に向いているということです。
運動している人は、実際どうだったか
試験ではなく、実際の生活を追跡した研究もあります。18〜85歳の成人1,002名を、秋と冬の12週間にわたって追跡した研究です(Nieman et al. 2011)。
・週5日以上の有酸素運動をしている人は、週1日以下のほとんど動かない人と比べて、上気道感染症の症状があった日数が43%少ない結果でした
・自己評価した体力が高い層は、低い層より46%少ない結果でした
・症状の重さも、活動量・体力の高低で32〜41%の差がありました
・7つの交絡要因を調整したうえでの結果です
これは観察研究です。「運動している人は症状の日数が少なかった」という関連であって、「運動したから減った」という因果を示したものではありません。もともと健康な人がよく動いている、という可能性を排除できないからです。
もっと大きな枠で見ると
感染症全体と身体活動の関係を、ランダム化比較試験と前向き観察研究の両方から集めた分析もあります(Chastin et al. 2021)。競技アスリートは除外されています。
・習慣的な身体活動が多い人は、市中感染症のリスクが31%低い(ハザード比0.69、95%信頼区間0.61〜0.78/6件・557,487名)
・感染症による死亡のリスクが37%低い(ハザード比0.64、0.59〜0.70/4件・422,813名)
・運動の介入によってCD4細胞数が増加(32細胞/µL、7〜56/24件・1,112名)
・唾液中の免疫グロブリンAの濃度が上昇(標準化平均差0.756、0.146〜1.365/7件・435名)
・ワクチン接種後の抗体濃度も、運動プログラムを併用したほうが高い(標準化平均差0.142、0.021〜0.262/6件・497名)
この分析は数十万人規模で、方向としては一貫しています。ただし感染症リスクと死亡リスクの部分は観察研究の統合ですので、やはり関連にとどまります。先ほどのコクランレビューが「風邪の発症回数は変わらない」としていることと、必ずしも矛盾はしません。見ている対象(風邪だけか、感染症全体か)も、研究のデザインも違うからです。
どのくらいの運動が使われていたのか
コクランレビューに含まれた試験のうち11件で使われていたのは、中強度の有酸素運動(ウォーキング、自転車、トレッドミル、またはその組み合わせ)でした。処方の内容は週3回以上、1回30〜45分が最も多いパターンです。
これは厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が示す目安とも重なります。同ガイドは成人に対して、3メッツ以上の身体活動を1日60分以上(約8,000歩に相当)、3メッツ以上の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日を推奨しています。3メッツというのは歩行の強度です。
同ガイドのQ&Aには、1回の身体活動について「20分以上継続しなければ効果がない」などの最短持続時間や、「週3回以上実施しなければ効果がない」などの最低実施頻度は「ありません」と書かれています。短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られる、ということです。歩数について詳しくは1日何歩歩けばいい?をご覧ください。
季節の変わり目に、無理をしないために
ここからは研究ではなく、現場でお伝えしていることです。
1. 体調を崩しているときは休んでください。のどの痛み、発熱、強いだるさがあるときに運動する根拠はありません。TRADでも、当日そういう状態でお越しになった場合は内容を大きく落とすか、日を改めていただいています。
2. 「軽く、短く」から戻してください。数日休んだあとに元の強度から再開すると、体がついてきません。夏の疲れが残る9月に運動を再開するときの3つの目安でご説明した考え方が、そのまま使えます。
3. 続けることのほうが大事です。コクランレビューの結果は「回数は変わらないが、重さと日数は違いそう」というものでした。1回の運動でどうにかなる話ではなく、習慣として続いていることが前提です。運動を続けるための記録のつけ方もあわせてご覧ください。
4. 睡眠と食事を削らないでください。ここについて今回ご紹介できる研究はありませんが、運動だけを増やして睡眠を削れば、疲労が残ります。運動すると睡眠の質が上がる理由で睡眠の側からもご説明しています。
できないとお伝えしておくこと
運動で風邪を予防できます、とはお伝えできません。14件を集めたコクランレビューが、発症回数に差がなかったと結論しているからです。「免疫力が上がる」という言い方もしません。免疫の検査値については、同じレビューで有意な影響がありませんでした(別の分析では変化の報告もあり、結果は一致していません)。
また、TRADは医療機関ではありません。体調不良の原因を判断することも、治療を行うこともできません。発熱が続く、息苦しさがある、症状が長引くという場合は医療機関にご相談ください。
TRADでのご案内の仕方
季節の変わり目は、運動の量を増やす時期ではなく、続けられる形に整える時期だと考えています。TRADでは、まず姿勢と動作の評価で今の状態を確認し、その方が無理なく続けられる強度から組み立てます。
完全予約制のマンツーマンですので、その日の体調に合わせて内容を変えられます。「今日は少しだるい」という日に無理をさせることはありません。東海市・太田川駅から徒歩4分、完全個室・駐車場もございます。大府市・知多市・常滑市からお越しの方も多くいらっしゃいます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・Grande et al.(2020)コクランレビュー/Cochrane Database of Systematic Reviews(PubMed)
・Nieman et al.(2011)前向き観察研究/British Journal of Sports Medicine(PubMed)
・Chastin et al.(2021)システマティックレビュー+メタ分析/Sports Medicine(PubMed)
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
よくある質問
Q. 運動していれば風邪をひかなくなりますか?
なりません。14件の試験・成人1,377名を集めたコクランレビューでは、運動する群と運動しない群で、1年あたりの発症回数(リスク比1.00)にも、期間中に1回以上かかった人の割合(リスク比0.88)にも差がありませんでした。差が出たのは症状の重さと、期間中に症状が出ていた日数(2.24日少ない)のほうです。
Q. どのくらいの運動をすればよいですか?
コクランレビューに含まれた試験で最も多く使われていたのは、中強度の有酸素運動を週3回以上、1回30〜45分という内容でした。ウォーキング、自転車、トレッドミルなどです。厚生労働省のガイド2023も、成人には3メッツ以上の身体活動を1日60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日を推奨しています。3メッツは歩行の強度です。
Q. 「運動で免疫力が上がる」というのは本当ですか?
言い切ることはできません。コクランレビューでは、血液中のリンパ球、唾液中の免疫グロブリン、好中球といった検査値に有意な影響がありませんでした。一方、別の大規模な分析では、運動の介入でCD4細胞数や唾液中の免疫グロブリンAが増えたと報告されています。結果が一致していませんので、TRADでは「免疫力が上がる」という言い方はしていません。
Q. 風邪をひいているときに運動してもよいですか?
のどの痛み、発熱、強いだるさがあるときに運動する根拠はありません。休んでください。TRADでも、当日そうした状態でお越しになった場合は内容を大きく落とすか、日を改めていただいています。数日休んだあとは、元の強度からではなく軽い内容から戻してください。発熱が続く、息苦しさがあるという場合は医療機関にご相談ください。
Q. 運動する人は感染症になりにくいと聞きました。
55万人以上を含む分析では、習慣的な身体活動が多い人は市中感染症のリスクが31%低く、感染症による死亡のリスクが37%低いという関連が報告されています。ただしこれは観察研究をまとめたもので、運動したから防げたという因果を示したものではありません。もともと健康な方がよく動いている可能性を、この結果からは排除できません。
姿勢評価つきの体験を受付中|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
季節の変わり目は、量を増やす時期ではなく、続けられる形に整える時期です。TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価して、その方が無理なく続けられる強度から組み立てる完全個室のパーソナルジムです。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験トレーニング(90分)は2,750円(税込)です。ご予約後にお送りするご確認メールから、事前にお支払いいただけます。
その場でのご契約はお願いしていません。内容を見たうえで、じっくりご検討ください。ご予約は公式LINE、または予約サイト(空き状況を見る)から承っています。

