健康診断で、去年より身長が1cm低く出た。家族に「小さくなったね」と言われた。そんなときに気になるのが「これは歳のせいなのか、それとも何かのサインなのか」という点だと思います。先に結論をお伝えします。40〜79歳の16,230人を調べた研究では、10年あたりの身長の減り方は中央値で1.07cmでした。つまり10年で1cm前後は、よくある範囲です。いっぽうで若い頃から4cm以上の低下は、確かめる価値がある目安として公的な資料に挙げられています。そして正直にお伝えすると、運動で身長が戻ったという研究は確認できませんでした。この記事では、東海市・太田川駅から徒歩4分のTRADパーソナルコンディショニングジムが、身長という数字の読み方を整理します。
要点まとめ
・40〜79歳の16,230人の研究では、10年あたりの身長の減少は中央値1.07cmでした(四分位範囲 0.28〜2.09cm)
・米国の2,084人の研究では、30〜70歳の累積で男性が約3cm、女性が約5cm、80歳では男性5cm・女性8cmでした
・背骨の骨折がない方の縮み方は小さいという報告があります(骨折なし0.4cm/骨折あり2.1cm)
・身長は1日の中でも変わります。若い男性8名の実測で、1日の最大と最小の差は19.3mm、いちばん高いのは起床時でした
・ですのでまず「同じ条件で測る」ことが先です。国際的な標準測定では、深呼吸して最大に背伸びした状態で測ります(再現性を高めるためと明記されています)
・厚生労働省の骨粗しょう症に関するマニュアルには、50歳以後で2cm以上、若い頃から4cm以上の低下で背骨の骨折が生じている「可能性がある」と記載があります
・⚠️ ただし身長の低下だけで骨折の有無は分かりません。3年で2cm超の低下があっても骨折を見つけられたのは35.5%という報告があります
・⚠️ TRADは診断を行いません。背中や腰の痛み、丸まりが気になる場合は医療機関にご相談ください
加齢で身長はどのくらい減るのか
まず「ふつうの幅」を知っておくと、必要以上に心配しなくて済みます。
2024年にThe Journal of Nutrition誌に載った研究では、英国の大規模コホート(EPIC-Norfolk研究)の40〜79歳の16,230人について、10年あたりの身長の変化が報告されています。結果は中央値でマイナス1.07cm、四分位範囲は0.28〜2.09cmの減少でした。つまり10年で1cm前後が真ん中あたりで、人によって0.3cmから2cmくらいまで幅があるということになります。
もう少し長い期間で見た研究もあります。米国の2,084人を縦断的に調べた1999年の報告では、累積の減少量は30歳から70歳までで男性が約3cm、女性が約5cm、80歳では男性5cm・女性8cmとされています。女性のほうが減り方が大きいという点は、どちらの研究でも共通した傾向です。
そして、ここが大事なところです。ハワイに住む日系米国人の閉経後女性504名(平均73.4歳)を平均7.7年追跡した1996年の研究では、背骨の骨折がない方の身長の減少は平均0.4cm、骨折があった方は平均2.1cmと報告されています。骨折がない方では80歳を過ぎても年あたり1mm未満でした。縮み方が大きいかどうかの分かれ目は、年齢そのものより背骨に何か起きているかどうかだと読めます。
身長は1日の中でも変わります
健診の数字を見るときに、まず知っておいていただきたいことがあります。身長は朝と夕方で違います。
1984年の研究では、成人男性8名の身長を1日かけて繰り返し測りました。その結果、1日の最大と最小の差は19.3mmで、いちばん高いのは起床時でした。約2cmです。
仕組みの裏づけもあります。1994年の研究では、腰の椎間板の体積が日中に約2割減ることが測られています(男性8名)。椎間板は水分を多く含んでいて、立って過ごす時間が長くなると水分が抜け、寝ているあいだに戻ります。
⚠️ ただし正直に書きます。この2つの研究はどちらも若い男性8名が対象です。40〜60代の方で朝夕の差がどれくらいあるかは確認できませんでした。「年を取ると朝夕の差は小さくなる」という説明も見かけますが、その裏づけとなる実測値を確認できなかったので、この記事では書きません。
そして健診で去年と1〜2cm違う理由を、測った時間帯・姿勢・測定のばらつきに分けて調べた研究も、確認できませんでした。ですので「健診の1cmは測定誤差です」と断定することもできません。言えるのは「条件が違えば1〜2cmは動きうる」というところまでです。
だから、同じ条件で測ることが先です
気になったときに最初にやっていただきたいのは、受診ではなく測り直しです。条件をそろえて測ると、本当に縮んでいるのかが分かります。
国民健康調査で使われている標準的な測定手順では、次のように測ります。
・かかとをそろえ、つま先を60度ほど開く
・後頭部・肩甲骨・お尻・かかとの4か所を壁(背板)につける
・耳の穴と目の下のふちを結んだ線が床と平行になるように頭の向きを合わせる
・できるだけ背を高くするように立ち、深呼吸をして、その姿勢を保つ
最後の「深呼吸をする」には理由があります。手順書には、深呼吸は背骨を伸ばす働きがあり、より一貫して再現性のある測定になるためと明記されています。健診で技師の方が「背を伸ばして、息を吸って」と声をかけるのはこのためです。
また同じ手順書には、高齢の方では背中の丸まりのために4か所すべてが壁につかないことがあり、その場合はできる範囲で最良の測定とするとも書かれています。つまり背中が丸い方は、そもそも測定値が低めに出やすいということです。
ご自宅で測るなら、起床後の時間帯をそろえて、同じ壁で、同じやり方で。朝に測った数字と夕方に測った数字を比べると、それだけで差が出てしまいます。
身長の低下と背骨の骨折について
ここは慎重にご説明します。身長の低下が気にされる一番の理由は、背骨の圧迫骨折との関係です。
日本整形外科学会の骨粗しょう症のページには、次のように書かれています。「骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です」「骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします」。学会のページに身長の低下についてのcm基準の記載はありません(全文を検索して確認しました)。
cmの目安が書かれている公的な資料としては、厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル 骨粗鬆症」があります。ここには「50歳以後で2cm以上、若い頃から4cm以上身長が低下した場合には椎体骨折が生じている可能性がある」と記載されています。患者さん向けの版では「身長が2cm以上低下した」「背中が丸くなった」場合は医師・薬剤師に連絡をとされています。
⚠️ ただし、この資料の性格をお伝えしておきます。これはお薬の副作用として起こる骨粗しょう症への対応をまとめた資料で、一般の健診受診者向けの基準として作られたものではありません。そして表現は「可能性がある」です。「骨折しています」とは書かれていません。
実際、研究のほうを見ると数字は揺れています。骨粗しょう症のある閉経後女性985名を3年間毎年測定した2005年の研究では、3年で2cmを超える低下を目安にすると、新しい背骨の骨折を見つけられたのは35.5%でした(見逃さなかった割合=感度)。いっぽうで4cmを超える低下があった場合、新しい骨折のオッズ比は20.6まで上がりました。著者は「骨折があると確実に判定できる線引きの値はない」としたうえで、1〜3年で2cm以下の低下なら、新しい骨折を否定する方向には十分な精度があると結論づけています。日本人の閉経後女性942名を調べた2020年の研究では、骨折を見分ける境目が4.95cm、背骨の変形については2.75cmと算出されています。日本人の60歳以上の女性407名の研究では、自己申告で4cm以上の低下があった方のオッズ比が2.3でした。
整理すると、こうなります。身長の低下は「確かめたほうがいい合図」としては役に立ちますが、身長だけで骨折の有無は分かりません。確かめるにはレントゲンなどの検査が必要で、それは医療機関の仕事です。
もう1つ、押さえておきたい指摘があります。2012年のレビューには「骨粗しょう症では、痛みが無いことは椎体の微小な骨折や変形が無いことを意味しない」と書かれています。痛くないから大丈夫、とは言えないということです。
運動で身長は戻るのでしょうか
ここは正直にお伝えします。運動によって身長(cm)が伸びた、あるいは戻ったという質の高い研究は、確認できませんでした。「この体操で身長が戻ります」とは申し上げられません。
確認できたのは背中の丸み(後弯角)についての研究です。
2019年のシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、10件の無作為化比較試験(運動群284名・対照255名)をまとめ、胸の背骨の後弯角が小さくなる方向の結果が示されました(標準化平均差 −1.400、95%信頼区間 −2.150〜−0.660)。腰の反りには有意な差がありませんでした。著者は「ストレッチより筋力強化のほうが後弯に関連しうる」と述べ、同時にさらに無作為化比較試験が必要と結論づけています。
いっぽうで、45歳以上・後弯角40度以上の方に絞った2014年のレビューでは、13の研究のうち8つで姿勢の指標の少なくとも1つが改善したものの、データの少なさと質のために、効果をまとめることができなかったとされています。
さらに、日本で行われた試験もあります。地域に住む65歳以上の29名を、背筋を鍛える群と全身運動の群に分けて6か月行った研究では、背筋強化は身体機能やパフォーマンスを改善しましたが、背骨の並び(アライメント)は改善しませんでした。全身運動の群との差も有意ではありませんでした。小規模な研究です。
⚠️ そして重要な点です。これらはすべて「姿勢の角度」を測った研究で、身長そのものを測った研究ではありません。
背中を鍛えることと背骨の骨折の関係については、興味深い小規模研究があります。健康な閉経後女性50名(58〜75歳)を10年追跡した2002年の報告では、背筋運動を行った群の椎体の圧迫骨折は378椎体のうち6(1.6%)、対照群は322椎体のうち14(4.3%)でした。ただし50名・限られた集団の研究で、骨折を防げると約束できる根拠ではありません。この研究でも身長は測られていません。
では運動は無意味なのでしょうか。そうではありません。言えるのは「背中の丸みが変わる可能性を示す研究はあるが、研究の数が少なく結果も一致していない」「身長が戻るとは言えない」「いっぽうで背中や脚の筋力、バランスは運動で変わる」というところまでです。骨密度を守る運動については別の記事で詳しくご説明しています。
医療機関にご相談いただく目安
次のような場合は、運動より先に医療機関にご相談ください。
・若い頃と比べて4cm以上低くなっている、または50歳以後に2cm以上低くなっている(厚生労働省のマニュアルに目安として記載があります)
・背中や腰の痛みが急に出た
・転んでいないのに背中が痛くなった
・背中が丸くなってきた
・健診の身長が数年続けて下がっている
最初の項目以外は、学会や公的資料の記載として確認できたものではありませんので、一般的な注意としてお受け取りください。受診のときは、過去の健診結果を持っていくと話が早くなります。
TRADが行うのは運動指導・コンディショニングです。身長の低下の原因を特定したり、骨折の有無を判断したりすることはできません。該当する場合は受診をおすすめしています。
TRADでできること
身長を戻すことはお約束できません。そのうえで、できることが3つあります。
1つ目は、今の姿勢を数字と写真で残すことです。背中の丸まりは、ご自身では分かりにくいものです。壁に立っていただいて、後頭部・肩甲骨・お尻・かかとのうちどこがつかないのかを確認します。ここが分かると、半年後に比べられます。姿勢評価とは?TRADが行う7つのチェック項目でご説明しています。
2つ目は、背中と股関節の動きを確認することです。背中が丸く見える方のなかには、骨の変化ではなく動きの硬さと使い方で説明できる部分がある方もいます。胸の背骨については胸椎が硬いと猫背になる理由、骨盤については骨盤が後ろに倒れるとどうなる?をご覧ください。
3つ目は、背中・脚の筋力とバランスを扱うことです。背骨の形そのものより、支える力とつまずきにくさのほうが日常への影響が大きい場面があります。足腰の状態はご自宅でも確認できますので、ロコモ度テストのやり方も参考になります。
東海市・大府市・知多市から通われている方の場合
「健診で身長が縮んでいて、少しショックだった」というお話を、40〜60代の方からうかがうことがあります。
そうしたときにまずお伝えしているのは、測り方で1〜2cmは動きうるので、同じ条件で測り直してみてくださいということです。そのうえで、数年続けて下がっているようであれば受診をおすすめします。
そして背中が丸くなってきたことが気になっている方は、そこから始められます。骨の形は運動で戻せませんが、背中や股関節の動きと、支える筋力は扱える部分です。見た目の姿勢がそれで変わる方もいらっしゃいます。
参考にした主な研究・ガイドライン
・日本整形外科学会「症状・病気をしらべる 骨粗鬆症」(日本整形外科学会)
・厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 骨粗鬆症」
・米国CDC/NCHS「NHANES Anthropometry Procedures Manual(2017)」
・Lee & Imamura(2024)縦断研究(EPIC-Norfolkコホート)/The Journal of Nutrition(PMID: 38762189)
・Sorkin et al.(1999)縦断研究(Baltimore Longitudinal Study of Aging)/American Journal of Epidemiology(PMID: 10547143)
・Huang et al.(1996)前向きコホート研究/Journal of Bone and Mineral Research(PMID: 8852952)
・Reilly et al.(1984)実測研究/Chronobiology International(PMID: 6600017)
・Botsford et al.(1994)MRIによる実測研究/Spine(PMID: 8009352)
・Siminoski et al.(2005)診断精度研究/Osteoporosis International(PMID: 15309381)
・Nakano et al.(2020)横断研究/Scientific Reports(PMID: 33149177)
・Kamimura et al.(2016)横断研究/Scientific Reports(PMID: 27381354)
・González-Gálvez et al.(2019)システマティックレビュー・メタアナリシス/PLoS ONE(PMID: 31034509)
・Bansal et al.(2014)システマティックレビュー/Archives of Physical Medicine and Rehabilitation(PMID: 23850611)
・Fukuda et al.(2020)対照臨床試験/Physical Therapy Research(PMID: 33489650)
・Sinaki et al.(2002)前向き追跡研究/Bone(PMID: 12052450)
・Sinaki(2012)ナラティブレビュー/PM&R(PMID: 23174554)
よくある質問
Q. 健診で身長が1cm縮んでいました。心配したほうがいいでしょうか。
1cmという数字だけで判断する必要はありません。40〜79歳の16,230人を調べた研究では、10年あたりの身長の減少は中央値で1.07cmでした。また身長は1日の中でも変わり、若い男性8名の実測では1日の最大と最小の差が19.3mmありました。測った時間帯や姿勢で動きうる幅です。ですので、まず同じ条件で測り直してみてください。そのうえで数年続けて下がっている場合や、若い頃から4cm以上低くなっている場合は、健診結果を持って医療機関にご相談ください。
Q. 何cm縮んだら受診の目安になりますか。
厚生労働省の骨粗しょう症に関するマニュアルには、50歳以後で2cm以上、若い頃から4cm以上身長が低下した場合に背骨の骨折が生じている「可能性がある」と記載があります。ただしこれは薬の副作用についての資料で、一般の健診向けの基準として作られたものではありません。また研究では数字が揺れており、骨粗しょう症のある閉経後女性985名の研究では、3年で2cm超の低下を目安にしても新しい骨折を見つけられたのは35.5%でした。つまり身長だけでは分かりませんので、目安として受診のきっかけにお使いください。確かめるには検査が必要です。
Q. 運動やストレッチで身長は戻りますか。
運動で身長が戻ったという質の高い研究は確認できませんでした。確認できたのは背中の丸み(後弯角)についての研究で、10件の試験をまとめたメタアナリシスでは角度が小さくなる方向の結果が出ています。ただし研究の数が少なく、信頼区間も広く、著者自身がさらに研究が必要だと述べています。日本で65歳以上29名に行われた試験では、背筋を鍛えて身体機能は改善したものの、背骨の並びは改善しませんでした。ですので「見た目の姿勢は変わりうるが、身長が戻るとは言えない」というのが正直なところです。
Q. 痛みがないので、骨は大丈夫ということでしょうか。
そうとは言えません。日本整形外科学会のページには「骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です」と書かれています。また2012年のレビューには「骨粗しょう症では、痛みが無いことは椎体の微小な骨折や変形が無いことを意味しない」という記述があります。痛みの有無で判断するのではなく、身長の変化や背中の丸まりといった見て分かる変化、そして骨密度の検査を手がかりにするほうが確実です。骨密度の検査を受けたことがない方は、一度確認しておくと以後の比較ができます。
Q. 自宅で身長を測るときのコツはありますか。
条件をそろえることが一番大事です。国民健康調査で使われる標準的な手順では、かかとをそろえてつま先を60度ほど開き、後頭部・肩甲骨・お尻・かかとの4か所を壁につけ、耳の穴と目の下のふちを結んだ線が床と平行になるよう頭を合わせ、できるだけ背を高くして深呼吸をした状態で測ります。深呼吸には背骨を伸ばして再現性を高める意味があると手順書に明記されています。ご自宅では、起床後の時間帯をそろえて同じ壁で測ってください。朝と夕方では差が出ます。
姿勢評価つきの体験を受付中|東海市のパーソナルトレーニングジムTRAD
背中の丸まりはご自身では見えません。壁に立ったときにどこがつかないのか、背中と股関節のどちらが硬いのか——そこを数字で残しておくと、半年後に比べられます。TRADは、鍛える前に姿勢・動作を評価してから進める完全個室のパーソナルジムです。太田川駅から徒歩4分、駐車場もございます。姿勢評価つきの体験トレーニングは90分・2,750円(税込)です。
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